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会社の評価制度やPDCAに悩んだら、まずはここからはじめよう

会社の評価制度を考えるために

 

仕事に魔法はありません。AIやロボットが登場して効率的、劇的に速度が上がっても、それは人間がものすごい速さで作業をしているのと同じで、なにかしらの存在が手を動かさないといけないわけです。ロボットがロボットアームを動かして車を組み立てるように、物理的にどうにもならないことはどこかに出てきます。ましてやまだまだ過渡期。製造、農業、建築は考えることや単純作業は機械に任せられても、少数生産や軽微な変更など個別に対応しなければならないことのために機械を開発したり、導入したするのはコスト高です。よって、魔法のようにたちどころに解決する方法はありません。

 

同様に、職場の人間を正しく評価し、経営陣も社員も納得できるかたちで給与や昇進を決定したり、目標を設定したりすることにも魔法はありません。特殊なプログラムやセミナーを一度導入すれば、あっというまにエクセレントカンパニーになったりしないのです。エクセレントカンパニーってなんだよって話です。たまに怪しげなコンサルタントがいいますけどね。そんなもの、どこにあるんだと。

 

世界最先端の企業ですら「人事」に関しては魔法ではなく、地道に、絡んだ釣り糸を解きほぐすようにして、ひとつずつ問題を解決しているのです。それが積み重なって、改良が続けられて、やっとのことで目も眩むようなすばらしい仕組み、企業文化に見えるだけなのです。稀代の発明家であるエジソンもアインシュタインもそうですよね。ある日突然、驚異的な発明をしたわけではありません。一般人の見えないところで、ずっと細々と作業し、思案していたわけですが、普通の人はそれを知らないために、天才が一夜にして発明したと思ってしまうのです。天才ではない私たちは、彼らにも増して地道に、ひとつずつこなしていかなければならないのはいうまでもありません。

 

(次のページでは評価制度を生み出すための準備について考えます)

評価制度を生み出す下準備

 

 

それではさっそく、下準備をはじめましょう。仕事は段取りが8割。我々は地道にいくのです。

まず、全社員が最低2週間、できれば1ヶ月程度、その日行った仕事を15分単位、20文字以内でメモしてもらいます。15分ごとに入力していたのでは仕事にならないなら、30分ごと、1時間に1度まとめて記入でも構いません(ただし精度は相当落ちます)。このとき、情報共有タイプの日報アプリなどがあるといいですね。紙に書くと集計が面倒なうえに共有できず、仕事が死事になります。手間だけ増えて、なんの役にもたたない事という意味です。

 

社内の反発は必至でしょう。でも、必ず導入してください。このとき、担当者はITに弱い人にします。その人に使ってもらって、一番ITに弱かった人間に教わらなければならないという屈辱を味あわせてやりましょう。まともな方向に自尊心を持っている人間は、慌てて自主的に入力しはじめるものです。

 

こういったものに拒否反応を示すのは、正常性バイアス等によるものです。人間は行動を変えることをリスクとして認識するようになっています。つまり、いままでそんなことをしなくても生きてこられたから、これからも同じことをしたほうが命の危険が少ない。そう理解するようにできているのです。ただ、時代は変わります。新しい世代が常識を破壊していくのですから仕方ありません。なぜそうなるかについてですが、人間は原則的に生まれたときにすでに存在する技術や文化を基準にするものだからです。暮らしがよくなり続ける以上、先に生まれた世代と後に生まれた世代の断絶は防ぎようがありません。特に急速に変化しはじめた時代にあっては、より一層、若い世代が常識を破壊していくものと思われます。

 

一方、これまでの世代、我々世代が抱きがちな現状維持への崇拝や試みについて、変える必要がある理由を述べることなく、「とにかくやれ!」といったところで、変わることは難しいでしょう。理屈が説明できないで、どうして命のリスクを背負うことができるでしょうか。「ギャンブルで倍にしてきてやるから、金貸して」といっているのと同じことです。意地でも反対するはずです。少なくとも導入に際しては、その効果を説明できなければなりません。効果を説明してなお抵抗する場合は、導入しないことによってどういうメリットがあるか相手に説明させてください。人間はそんな面倒なこともやりたくないわけで、納得はしないまでも、行動に変化を起こすことは容易になるはずです。

 

(下準備が済んだら、あとは実行です。具体的な経営改善法をチェック!)

仕事は徹底的に小分けにする

 

 

さて、本題に戻りましょう。作業を15分おきにメモなどと、なにゆえそんな面倒なことをするのかですが、自分の仕事がどれほど効率的か、もしくは非効率かが見えるようになるからです。特に共有すると、仕事のできる人間とそうでない人間の比較がグラフなどで一目瞭然になります。できのいい人間を伸ばすのは大変ですから、できの悪い人間にスター社員の真似をさせるためにも共有と比較は必須です。

 

そのほかにもとてもよい効果があります。そのなかの代表的なものが、作業を小分けできることに気づくという点です。アダム・スミスが論じたように、分業というものは数十、数百倍の生産効率を生み出します。それを実践したのがフォード社です。たったひとりの職人が、ネジからエンジン、タイヤにボディまで1点ずつ作っていては1年経っても車はできません。作業を小分けにすると、「この仕事は自分がやらなくてもいいのでは?」ということがたくさん見えてきますし、仕事ができるからとなんでもかんでも抱え込んで、ボトルネックになっている社員や、遊んでいる社員を見つけることができます。作業の単位は15分なのですから、15分で完了するような仕事なら、経験の浅い人間にも簡単に投げてよこせます。そういうところに気づくことが大切です。生産性の向上と同時に、社員の疲労やメンタルヘルスもよくできます。疲弊してパンクしかけているのに、仕事をすべてブラックボックスに詰め込んでいる社員はいませんか? 余人をもって変え難い社員など、会社という組織には要りません。社長すら交換可能でもいいくらいなのです。人と人が集まって、効率的に仕事をこなすための組織が会社なのですから、なんでも自分でやりたい人間は組織を去ってもらわなければ会社の存在意義がなくなるというもの。まずは記録を取って行動を見える化し、作業を小分けにさせましょう。次に打ち手を考えて社員に伝え、その結果をもって評価制度に反映するのです。

 

15分でこなせない仕事は長すぎる仕事です。1つの一連の作業のように思えたとしても、段階ごとに小分けにすることは可能です。製造工程なら工程ごと、一見小分けできなさそうな移動時間すら、「この時間までにXX駅を通過予定」としておけば、自身の感覚との乖離に気づきますし、修正が容易です。軍隊の作戦が定時連絡制なのも、こうやって逐一確認、修正ができるからにほかなりません。PDCAというやつですね。

 

まだまだ考え、変えていくべき部分はありますが、とりあえず今回のコラムはこのあたりにしておきましょう。仕事の小分けと報告だけでも、会社の様々な部分が変わってくることが実感できるはずです。

 

 

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