よいしゅふは、てつなべをそだてられるしゅふだ
しゅふとはてつなべを育てるものだ
油に濡れた部分が沈んだような青さで輝く鉄鍋こそが、すぐれたキッチンマスターの証。
15年ぶりくらいに鉄鍋を買いました。
で、思うんです。「すぐれたしゅふ」は、鉄鍋くらい育てられるものだと。
性差別だとか、現実を知らないだとか、懐古主義だとか、そういった批判もありましょう。でもですね、私がいいたいことはそんなことじゃないんです。
鉄鍋の管理もできないほど忙しいなんて、どうかしているってことです。
鉄鍋というものはテフロンなどのフライパンと違って、管理が面倒です。濡れたまま放っておくと錆びます。錆びたら金ダワシで削り取って、油を塗り直さなければなりません。また、洗剤を使って洗うなんて御法度です。せっかく育てた油膜が剥がれ、鉄鍋の高温調理なのにこびりつかないという特製が失われます。
その手間すらかけられないほど働いて、ガッポリ稼いで早期リタイアというならいいんですよ。でもね、そうじゃないわけでしょう。主婦や主夫が忙しいのって、共働きだからですよね。また、核家族だからでもあるでしょう。家事の分担が許されない時代で、なおかつ仕事も高度化して難しい。
こういった、手間をかける余裕や愉しみを捨ててまで働いて、今日の食い扶持がどうなるか、なんて人生を平気な顔をして受け入れてちゃダメなんだろうなと。
実際、難しいことですけどね。でも、日々の暮らしのなかに、ちいさな愉悦すら見出せない生活なんて、生きてる意味ってのがわかんなくなっちゃうでしょう。
鉄鍋を育てられるくらいの余裕を持てるように。
ひとつのボーダーラインとして、鉄鍋を買ってみるのも悪くないと思いますよ。
すごく重たいですけどね。
厚みは2mm以下にしましょう。3mm超のものは本格的で、中華鍋などで使うと本当においしい野菜炒めができるんですけど、女性なら腱鞘炎になっちゃいます。料理が楽しくなくなったら、鍋を育てるもなにもありませんからね。
広めのフライパン。底は平底で十分です。
テフロンのフライパンを半年ごとに買い換えるのがラクでいいのですが、鉄鍋は鉄鍋のよさがあります(エイジングと鉄分補給)。ぜひ、お試しあれ。
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