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ここに書店ありき「平惣徳島店様」#001

 

徳島県の本屋さん「平惣」

 

私がはじめて通うようになった本の専門店が平惣さん。当時は阿南店でした。いまでこそ、影も形もなくなって、そのあとにできたコンビニもサークルKサンクスからファミリーマートへ変わってしまいましたが、私が本好きになる基礎を作り上げたのがこのお店です。参考書も漫画も、様々な本と出会いました。高校に入ったばかりのころに手にした講談社ブルーバックスに収められているダレル・ハフ著『統計でウソをつく法』と、中公新書の川喜田二郎著『発想法』を買ったことは生涯、忘れないかもしれません。

 

『統計でウソをつく法』は、当時ですら出版から30年近く経っていて準古典とみなされていましたから、いま読むと古臭くてつまらないと思う人も多いようです。でも、学生の自分にとって、統計調査によってはじき出されたデータは正しいはずだという固定観念があり、それでもなにか上手くやれば詐欺的に人を騙せてしまうのではないか? と思っていたところに手にしたタイムリーな一冊だったので、強烈な衝撃を受けたわけです。本はこんなに自分の疑問に応えてくれる。しかも30年も前の著者の本、なんて便利で、世の中にはすごく賢い人がいるもんだと心底、感心したものです。それもこれも、平惣さんにブルーバックスがあったからこそ。人生を決めてしまうような変化を生む場所、それが書店なんですね。

 

いやいや、人生を決めるだなんて大げさな、と思われるでしょう。確かに、私は書店で本を買うより前から、ずっと本が好きでした。でも、『統計でウソをつく法』を知らなければ、大学卒業後に出版社に勤め、編集者にはなっていないはずです。どうですか? 人生、決まるような変化だと思いませんか? 単なる読書好きが科学的に分析するよろこびを知って、もっとたくさんの人にそんな本を読んでもらいたいと編集者になったのです。

 

こうしてみると、私は様々な人生の岐路にあって本屋さんに助けられてきたと感じます。私にできることなど限られているとは思いますが、人生を救われたり、ご指南いただいた人間として、どうしても恩返しせずにはいられません。平惣さん、ありがとうございます。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。

 

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