1. HOME
  2. ブログ
  3. ひっこみ思案のあなたが生まれ変わる科学的方法|アンディ・モリンスキー著

ひっこみ思案のあなたが生まれ変わる科学的方法|アンディ・モリンスキー著

本の価値は、読む人間の価値で決まると改めて教えてくれる

 

本書は刊行間もない2017年の秋ごろに入手し、懸命に肯定的に読もうとした記憶があります。その結果、書評に投稿した内容は散々たるものでした。否定に次ぐ否定。この程度でハーバードが選ぶなら、ハーバードなんか要らないといいたげです。

 

いま改めてこの本を手にすると、とても素直に、まっすぐに受け止めることができます。ではなぜ、当時の私は強烈な敵意を向けていたのか。答えは単純で、いまなお続き、さらに片方の失明などを起こして症状的に重くなっている病、線維筋痛症によるところが大きかったからです。

 

経済にトリクルダウンは起きませんが、人間には起きるというのが私の信条です。つまり、心が満たされていれば、あたたかな作品をそのまま受け入れられるけれども、心が荒みきっていれば、目につくものすべてが気に入らない。ただそれだけの話なんです。

 

当時の私は、痛みと薬の副作用昼も夜もなくなって仕事も満足にできなくなり、自殺のための準備をはじめるか、希望を探して耐えるかの瀬戸際にありました。2017年の晩秋には自殺を決意し、冬ごろにかけて準備をするのですが、肉体的にはまだまだどん底ではなくても、人生において精神的に一番酷かった時期だったのです。まあ、ご覧の通り、いまもこうして生きておりますから、自殺はある理由で実行しなかったわけですけれども、そこから人生を立て直そうと四苦八苦する現在、改めて本書を手にすると、なかなかにいい本じゃないかと思えるようになっていたんです。

 

結局のところ、その本がいい本か、悪い本かなどというのは、読者の気の持ちようなのかもしれません。本は読者を映す鏡です。

 

ひっこみ思案を解消するためには?

 

この本を手にするということは、ひっこみ思案をどうにかしたいと思っている人だろうと存じます。この精神的問題は、すでに多くの先行研究があります。例えば、居心地のいい既知の環境、コンフォートゾーンから外に出なければ、人間的成長も成功もないという類のものです。本書もそういった内容です。一部、ケツを叩いて強引にコンフォートゾーンから出そうとするのは無責任だ! というような無駄なページがありますが、そこを読まなかったことにすれば、自己啓発書としての基本は押さえているように思います。

 

様々なコンフォートゾーンから出るための手法が書かれておりますが、そのなかからひとつテクニックを挙げますと、「スピーチ原稿の私の部分を自分の名前に置き換える」というものがあります。「私は」といわずに「サトウユウトは」というわけです。こうすると、どこか白々しく、そういう第三者がいるかのような印象を受け、原稿を読み上げるにしても緊張しないというんですね。しかもこのテクニックのいいところは、聞いている人たちからすると、違和感のないところにあります。また、「バカに丁寧なやつだな」と思われることはあっても、そう大きな損にはならないですし、名前を覚えてもらいやすくなります。緊張しいにはありがたい、使えるテクニックです。

 

あとは、コンフォートゾーンから飛び出して失敗すると、すぐに引っ込んでしまう人については、その失敗を「能力の限界」ととらえず、「伸び代」だと見るということです。よくバカにされるのを目にしますが、サッカーの日本代表選手は、「課題が見つかった」「収穫があった」「伸び代です」みたいなことをいいますよね。あれでいいわけです。「これが日本代表の限界です」といえば、それで終わっちゃいますからね。そこまで理解して笑うなら結構なんですけど、理解していないまま笑っているとしたら、コンフォートゾーンに浸かっていることに疑問を感じたことのない人なのだろうなと思うのです。意識高い系なことを申して恥ずかしいんですけどね。

 

失敗を限界と見るか、次の目標と見るか。

冒頭でもお話ししたように、人間は気の持ちようです。気分であらゆるものへの理解も評価も変わりうるのです。今のほうがずっと具合が悪く、生活も不便ですが、かつてのような絶望感はありません。これは、私自身、逆境を楽しむというスタンスに切り替わったからです。健康だったときのようにできないだとか、自分ばっかり不幸な目にあうという考えは考え尽くした結果なので、そう簡単には切り替えられないかもしれませんが、とても大切なことです。

 

あなたが本当に自分を変えたいと思ったとき、素直に受け入れられそうなとき、頼りになる一冊だと思います。

 

 

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


関連記事

調べものですか?

最新記事

おすすめ記事

特集記事

About Author