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経営者の頭を悩ます権限と責任について

経営者の仕事は決めること

 

これは以前よりいろんな場所でお話しておりますが、経営者の仕事は決めることです。経営者は船長ですから、羅針盤を眺めてあっちだ、こっちだというのが仕事なのであって、オールを持って船乗りと一緒に漕ぎ出してはいけません。緊急時を除いては。

 

ですので、経営するうえで経営者が絶対に手放してはいけないのは決定するこt。これ以外はほぼ際限なく部下に与えても構わないのです。

 

権限と責任の難しい問題

 

ここを読む人は大概が経営者です。個人経営でも企業体でも同じです。ですので、無限に責任を負っている立場にあります。しかし、社員はそうではありません。責任なんて一切欲しくないのです。一方で権利はいくらでも主張します。それが社員であり、人間です。

 

世間には「権限がないからなにもできない」という言い訳話法と、「権限を与えられると責任を取らされる」という責任逃れが横行しています。自分はいろいろとしたいのだけれど、権限を与えてくれない上が悪いんだという言い訳です。これをやっておけば、自分が働かないことや成果が出ないこと、果ては無能なことまで、すべて丸っと上司の責任にできてしまいます。上司は上司で、その上の上長が悪いといえますから、最後には社長が悪いで社内が団結します。最悪の言い訳です。

 

また、責任を取りたくないので権限はいらない、職責もいらないという逃げが許されます。自分は課長になんかなりたくない。課長じゃないからやらなくていいといった具合です。

 

でも、これって本当なんでしょうか。権限がなければ責任を負わなくていいのか。権利と自由はセットだとか、権利と責任はセットだというのが世間の常識ですが、本当にそうなのかと思うわけです。

 

人間は誰しも無限責任「だけ」負って生まれてくる

 

権限がないから責任がないというのはウソだと私は考えています。人間は生まれたときから自分の生命に無限責任を負っているからです。また、産む側も同様です。親は子どもに無限責任を負っています。それを社会通念や損害賠償の観点から「ここまではお前の責任だ」と決めているだけです。

 

子どもは親の財産を好きにする権限はありませんが、親にしつけと称してぶん殴られる責任の取りかただけは与えられます。一方親は、子どもの不出来の責任をどこまでも取らされますが、その結果として権利や権限などを持っているかといえば、そんなことはないですよね。

 

一体どこから、権利や権限と責任はセットだといわれるようになったんでしょうか。共同幻想にすぎないと思うわけです。

 

社会人として勤め人をするなら、いやいや、人間として生まれた時点で、無限に責任を負っている。会社のなかにあっては、社長や経営陣の決定の範囲を超えなければ、社員は一兵卒にいたるまでどこまででも権限を持っていて、かつ無限の責任を本来的には負うべきものなのです。

 

自分は平社員だから権限がないというのは汚い言い訳にすぎませんし、責任を負いたくないので昇進したくありませんに対しては、昇進しなくても責任は負えよといえばいいのです。本来的にそんなものなんですから。

 

日本に限らないのかもしれませんが、どうも課長や部長といった、わけのわからない間接部門の「長」が増えすぎていると思います。そんなものはもしかしたら要らなくて、人間でいうところの脳である、決定する経営陣と、実行する手や足としての社員という区分だけでいいのかもしれません。

 

決める側か、実行する側か。これだけの区分なら、ワンチームまでいかずとも、ツーチームにはなります。

 

この場合、無限責任ではなく、経営陣は決めた責任を負い、社員は実行した責任を負うと明確にすることで、自分たちがどこまで責任を負い、なにをすればいいか明確になります。

 

経営陣が経営方針を部長や課長に提案させるのは「御法度」ですし、決められたことがどんなにデタラメでも、実行できなければ社員の責任です。もちろん経営陣は社員が実行できなかった場合、その間抜けな決定をした原因と結果についての責任を負うことになります。

 

経営陣が「今季売り上げを倍にするぞ!」といえば倍にするのが社員です。

倍にならなかったらどうしてならなかったのか反省し、計画を作り直し、責任を取るのは経営陣の仕事です。

計画は守らなければなりません。コロナショックや東日本大震災のような激変がある場合は別として、現状にあわせて計画を逐次変更するなどということはあってはならない。途中で現状にあわせて……とやりはじめると、誰の責任か不明になり、社会や時流、運が悪いという責任転嫁が起こるからです。

 

 

権限ははじめから決定権を除いてすべて社員側にあるということと、責任はどうつくろおうが、逃げようが、生まれながらに無限にあるということ。この2点をあなたの会社の言葉で社員に伝え、浸透させることが権限異常の第一歩、組織変革の基礎となるのです。

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