正社員になることの基準がありますか?
役職の基準を持っていますか?
深く考えない年功序列になっている日本の企業
あなたの会社には正社員基準がありますでしょうか。
たとえば、「5年以内に課長になる人間だけが正社員登用を望みなさい」などです。バイトやパートから正社員になりたいという人には2種類いて、ひとつは自分の能力以上の給料と安定性が欲しい人。もうひとつはさらに欲深で野心的な、もっと上を目指したいと思っている人です。こちらは前向きないい欲望ですから、特段制する理由もありませんよね。
で、「正社員になれるようがんばります!」という人間を見て社長さんは目を細めてしまったりするわけですが、前者は弾き、後者は弾かないために「基準」が必要なのです。これができていない会社が実に多いのです。
係長になるにはどうすればいいか、基準ないし目標と呼べるものがない。係長であれば、現場の新人に背中を見せて働く分隊長です。一番身近のリーダーです。その人自体は組織では未熟でも、仕事の仕方や知識を真似していれば、それなりに戦える。それが係長の能力基準です。これをあなたの業種に照らして、ここが係長基準だ!というものを3つほど抜き出してください。そうすれば、自然と現場の平社員やそれ以下の能力の社員も、ああいう社員になれば係長になれるんだと理解できます。
課長となればそれ以上です。最前線の現場においてこれ以上の人間はいません。ですので、課長になるには経営判断に関わらない現場仕事のほぼすべてを聞けば回答できるくらいの力が必要だということです。ここでもあなたの会社の実情に照らして、これができたら課長! という基準を3つほどつくってください。また、課長であるということは、本来なら部下がいるということです。課長は部下を1人くらいは抱えられるくらいの利益を出していることという基準は3つ以外に必ず設定しておくべきですね。数字に弱い上官は、感情でしかものがいえない社員(部下)を量産します。自分がお荷物かどうかもわかっていない人間は課長になれない。これが絶対の指針です。
部長職以上は課長までとは違う!と教え込む
ほぼすべての会社員が勘違いをしているので予め申し上げておきますと、課長の上の「部長」は現場の人間ではありません。こちらは経営幹部ないしは幹部候補。現場の仕事をしていてはいけないのです。
課長職は「改善」までが仕事です。改善というのは、よりよくしよう、より多くしよう、より稼ごうといった、現状の延長線上にある目標を達成するための仕事です。一方で部長は違います。新規事業や働き方の仕組みづくりなどいままでにないこと、従前の仕事の延長線上にないことで会社をよくする「作戦立案」が仕事になります。
つまり、課長職以下は実行が仕事であり、部長職以上は結果の責任を負うことになります。やるべき仕事が違うのです。期日までに仕事ができていなければ怒られるのが課長職であって、期日までにできていても結果として利益につながらなければ「どんなに努力しても」怒られるのが部長職以上なのです。これが結果責任です。
こんなことは社長のみなさんからすれば当たり前だと思いますが、社員は社長の視点に立ったことがないのでわかりません。課長職の延長線上に部長、常務、専務とあって、そこの最頂上に社長の椅子が置いてあると思っています。とんでもないことです。軍隊でもそうですが、上級将校を育成する大学校などがあるのはそのためです。現場の部隊と部隊運用を考える人間では仕事がまるで違い、延長線上にないからこそ、多くの国の軍隊に上級学校があるのです。
勤続30年、そろそろ自分も部長に……などと思っている社員がいるなら、早めに目を覚まさせてあげなければなりません。経営幹部は外部から登用されることもあるという現実を知ってもらう必要があります。シャープがホンハイに買われてあっという間に復活したように、内部に適任者がいなければ、外から連れてくれば一瞬で変わることもある。一方で、経営トップが変わったばかりにひっくり返りそうなナントカ家具なんかもあります。これが経営幹部の仕事です。少なくとも会社が上手くいっていないなら、それを長年見続けてきた社内の人間に経営幹部を任せるなんてもってのほかかもしれません。
部長以上の職種であるなら、「新規事業の立ち上げと収益化」「既存事業の明確な伸長」といった、社内にもうひとつ会社ができるくらいの力を発揮した人が就けるポストだということを3つほど選んで基準化しましょう。このとき社長自身も、課長職の延長線で基準をつくらないことです。部長は経営幹部候補なのですから、ゆくゆくは社長か子会社の社長になってもらわなければ「困る」のです。それだけに経営者としての能力を測れる基準が望ましいですね。
以上、職責の基準についてのお話でした。
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