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認知症になられた両親や祖父母の家を売るのは大変です

認知症になる前に「売っていい」といっていたとしても

 

最近よく耳にするのが、「不動産を処分したい、土地や家を売りたいんですけど……」とこられても、両親や祖父母が認知症になっている、ないしはその疑いがある場合、簡単には売れないという話題です。考えてみればこのような話が増えてくるのは当然で、人生100年時代だからというのもありますが、子どもがひとりしかおられない家庭で育った子どもが結婚し、夫婦になれば親は双方にいるので純粋に倍。祖父母は4倍になります。相続する人間が減っているのですから、荒れ果てた廃屋や、まったく知らない場所にある実家、土地をどうにかしなければならない人というのは急増するわけです。ひとりで2組の両親と、4組の祖父母、あわせて6件の実家をどうにかしないといけない!なんてことも起こりうるんですね。これは大変なことです。

 

固定資産税に仰天して、慌てて処分に出たり、放置していて問題が起こって相談という運びになるわけですけれど、権利者が認知症になっていると、処分はものすごく大変になります。まず、裁判所に行って法定後見人を設定しなければなりません。この話をすると、まず間違いなく困った顔や嫌な顔をされるはずです。別にその不動産屋が決めたルールではないのですが、大抵怒られるのは相談を受けた担当者です。辛いところですね。

 

でも、法的にそうなっているのでどうしようもありません。ちょいとかわして……という「優しい」不動産屋もあるかもしれませんが、私は絶対推奨しません。ところで、法定後見人制度を利用すると手間なだけでなく、その処分で発生した利益は、すべて認知症になっている方のために使うこと、と決まっています。ですので、実家を処分して利益が出たから兄弟で分けようというようなことは「できません」ので、ご注意ください。また、まだご本人様が認知症ではなく、十分な判断力を持っている状態で後見人を設定することも可能です。こちらは任意後見人制度といいます。

 

本来ならお互いに健康で平穏な状態で後見人を設定すべきですが、後見人の選定をすると、月に数万円の報酬を払う必要が出てきます。これはこれで大変な負担です。現実問題として、法定後見人を設定してまで不動産を売る、という人は少なく、相続が発生するまで(つまり亡くなるまで)放置して、固定資産税を払い続ける例が多いようです。こちらのほうが確かに、安いですからね。

 

そして、所有者不明土地問題へと繋がります

 

放置空き家や草だらけ、ゴミだらけの土地がひとつでもできると、街の雰囲気が悪くなりますし、虫や異臭という実害も出ます。法定後見人制度をどうにかしろ、とはもうしませんから、もっと相続(予定)人と現実に沿った形で不動産を処分しやすくなる方法を検討してもらいたいものです。

 

一応、特定空き家は固定資産税を6倍にするといった形式で手放すように仕向けていますが、上記のようにボロボロ、ゴミだらけの土地は、タダであっても処分費用が数百万円かかるので新築希望者からすれば「いらない」のです。タダどころか、処分費を肩代わりするといっても「もらってくれない」土地に対して、税金を6倍にするぞと脅したところでどうにもならないのかもしれません。

 

日本は土地を買うと自分のものになるルールが問題の根本にあるんです。使わなくなった土地は更地にしてお返しする。そういうルールにしない限り、処分したくてもできない、それなら放置してトンズラしたほうがお得なんて考えが蔓延するのは仕方のないことでしょう。相続や登記せず、所有者不明土地が九州よりも広い面積ある日本において、もはや土地の価値なんてゼロに等しいわけでして、価値ある土地すら使い物にならなくしてしまうルールは早いとこ改めなければならないと思うのです。

 

 

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