1. HOME
  2. ブログ
  3. 穴のないベルトは失礼か? 徳尾錠のはなし

穴のないベルトは失礼か? 徳尾錠のはなし

技術の進歩と正装

穴なしベルトはビジネスに不適?

 

穴のないベルトをしてくるなんて、常識を疑う! というかたがおられました。私はこの手のベルトが大好きです。一見してベルトに穴があって、バックルで止まっているように見せかけていて、実はベルトの裏側に階段状のツメが並んでおり、その爪とバックルが噛み合う位置ならどこででもベルトが留められる代物です。ほぼ無段階調整といっていい、画期的な製品です。

 

 

 

でも、ネクタイもそうですが、見えている本体部分だけ布で、あとは紐だったり、喉元に金具などがついていて、そこでワンタッチで取り替えができるようなものもありますよね。こういったものを正装として扱うのは「失礼」だというわけです。

 

失礼とは、正装とは、どういうものなのでしょう。日本の正統な正装というのであれば、和装でしょうし、和ということで遡れば和室は板張りで畳などないはずです。そもそも、200年前なら瓦葺きの家に一般庶民が住んでいること自体「礼を失する」わけでして、わからないものです。

 

とまあ、こういうはなしがしたかったわけではありませんで、穴のないベルトというのは日本のすばらしい技術だということなんです。上記のベルトは中国などで生産されているのですが、穴なしベルトは日本の技術を支えたあの企業から生まれたものなんです。

 

早川徳次、その男

目の付け所がシャープだった

 

早川といわれてもわかりませんが、シャープといえば日本人ならわかりますよね。日本の会社ではなくなってしまいましたが、かつての日本を象徴する会社です。穴なしベルトはその創業者、早川徳次が発明したもので、「徳尾錠」といいます。徳次錠ではないことに注意です。私もこのエントリーのために社史を見るまでずっと勘違いしてました。

 

この徳尾錠があったからこそ、先の量販品のようなものが出てきたと私は考えております。構造は違い、新しい量販品の方が高性能ですが、まあ100年も前の道具に現代の道具が勝てないほうが恥ずかしいですからね。で、100年以上の歴史のあるもので、日本人が発明したものを正装として扱ったらいかんのか、ということです。

 

私はベルト穴の破損したものや、腰にまわしのように巻きつけとるのか! というようなベルトの余りを見せられるほうが正装としてどうかと思うのです。

 

早川徳次が発明したシャープペンシルもそうです。日本では導入が遅れに遅れ、いまでもシャーペン禁止の学校(は持ち方指導という面もありますが)があり、シャーペンはビジネスシーンにそぐわないといっている人間がいます。契約書ならいざしらず、メモもボールペンで取れと怒鳴りつける人がいる。

 

シャーペンが売れたのは海外が先、日本が後。利便性や機能より、理屈や先例、形を大切にする国民性が現れているエピソードです。それの是非などということは申しませんが、技術の日本なのに、最新技術が受け入れられないのは悲しいことです。技術の日本「だった」などといわれぬよう、新しいものを率先して受け入れる。そんな風土を私世代からつくっていきたいものです。

 

ベルト、便利で痛まない上に安いので、たくさん買ってください。というよりも、日本のメーカーさんももっと高品質なこの手のベルトつくってくださいよ。本革で樫の木や花梨の木でできた高級バックルとかそういうものをぜひ。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


関連記事

調べものですか?

最新記事

おすすめ記事

特集記事

About Author