1. HOME
  2. ブログ
  3. 書評『会社を使い倒せ!』小野直紀

書評『会社を使い倒せ!』小野直紀

身につまされる「会社徹底活用法」

従来の税金対策といった話ではない実践録

 

読む前は、きっと会社のいいとこ取りをして楽して暮らす処世術といいますか、プライベートカンパニーをこしらえて節税……といったノウハウを語るのかと思っていたんですが、まったく違いました。もっと骨太で、もっと本質的。会社のなかで反逆を起こし、なおかつ会社のためになる。そういう生き方を「した」人物の自叙伝です。私自身なにか新しいことをするためには、独立開業しか道はないと思い続けていただけに、側頭部へ一撃もらったような衝撃でした。読むだけでガンガン頭痛がします。

 

会社でやることのメリット

 

会社に居続けて新しい挑戦をするというメリットは、会社員だからこそ気づきにくい部分があるように思います。例えば、個人でなにかしようと思ったとき、勝負を仕掛けて失敗すればそれまでです。まさに一巻の終わり。二度と復帰できません。しかし、自然人ではなく法人という仮想通貨ならぬ仮想人間であれば、組織の力と法の力で1度の失敗でおしまいとならない場合があります。何度か挑戦できるのです。もちろん失敗し続ければ出世の道はないでしょうし、どこかでクビが飛ぶかもしれませんが、会社にいることというのは大きな強みです。また、法人の肩書きを持って活動できるのは大きなことでもあります。それが大企業であればなおのことです。新しいことをするのに権威の力を借りるのか? といわれてしまいそうですが、革新的なことをやるのに独立しなければならないというルールはありません。そんな常識にとらわれていては、本当に革新的なことなどできないかもしれません。本書のタイトルでもある『会社を使い倒せ!』の本質は、ここにあるといってもいいでしょう。

 

自分で会社を起こすとなると、法人にまつわるあらゆる仕事にかかりきりになって、本当にやりたい仕事ができなくなります。そしてそのうち、社長業といいますか、個人事業主業のアタリマエに支配されて創造性が磨耗したり、やる気が消えたり、人生の仕舞いかただの、早期リタイアだのを考えるようになるのです。そのうち社員を雇って雑務を任せるわけですが、そうなると社員を食わせる責任がつきまとい、結局は組織運営だ、人心掌握だ、社員教育だといった新たな雑務に支配されて、やりたいことができなくなる。これは経験的に知っていることです。でも、会社にもたれかかりながら反旗を翻すのはよくないことだという固定観念があって、独立しかない、個人で独立すればスッキリする! とばかり考えていたんです。とんだ石頭野郎です。追い込まれたら潔く玉砕してやるぜ! とかいっちゃうような武士のようなものです。考えるのが面倒になったか、考える力がないのを正当化するために、楽な道へ逃げる口実を設けたに過ぎません。そんな奴は独立などといって清水の舞台から飛び降りたところで、早晩しくじるのが目に見えています。ああ、なんということでしょう。どうしてこんなことに気がつかなかったか。読めば読むほど悔いる本というのは滅多にお目にかかりませんし、自らを切りつけるようで一文字一文字が痛いくらいの、博報堂に勤めながらクリエイティブさを発揮する生き方集。これを読んであなたもぜひ、いきなり役員に直談判してください。非常識こそこれからの時代に必要な力なのですから。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

会社を使い倒せ! [ 小野 直紀 ]
価格:1512円(税込、送料無料) (2019/3/7時点)

楽天で購入

 

 

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


関連記事

調べものですか?

最新記事

おすすめ記事

特集記事

About Author