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ボランティアは本当に悪いことなのか|労働と対価

必ずしも金銭的対価を得なければならないか?

デザインはタダ?

ブラック企業礼賛というわけではなくて

 

アンパンマンの作者、やなせたかしさんはみなさんもご存知かと思います。氏のキャラクターはあらゆる団体、自治体のキャラとしてそこかしこで見かけます。なぜか? タダ同然で仕事を受けられたからです。自治体などは予算がないという理由もあって、やなせさんはそれらに協力的だったのです。

 

これについて、以前は「作家としての才能がすばらしいものだが、経済という面では最低の所業だ」と思っておりました。また、いまでもどこかでそう思うところはあります。有名なデザイナーがタダ同然で仕事をしてしまうと、無名な人間の仕事などなくなってしまい、また、その周辺の仕事を含めてタダだと思われるからです。

 

事実、「デザインの仕事なんてタダでしょ?」と思っている人は少なくありません。なんか適当に描いて、適当にパソコンをさわれば、たちどころにできあがる。それに何万円も出すなんてありえない。そういう風潮です。「だったら、自分でやればいいのに」といつも思いますし、そう申し上げることすらあります。

 

世間でも同様に、廉売するな、奴隷労働反対、ボランティア反対という人はいます。少しずつ潮目の変化を感じるのですが、そんななか、こうも思うわけです。金銭的な対価を得ないと仕事をしてはいけないのか、と。

 

金銭的価値のないもの、もしくは金銭の形をとらないものを対価として得ることで、仕事の対価をいただくということもありますし、一切対価を求めないこともまた、責められるべきではないと思うのです。

 

こういう話をすると、ブラック企業側の人間だ、経営者側の人間なんて、みんなそんなもんだと批判の声があがります。でも、待って欲しい、もう少しお付き合いいただきたいのです。

 

タダで得たもので金儲けをするなということ

 

私は、見返りを求めない仕事、労働の存在は否定しないことにしました。

 

しかし、一方で、見返りを求めずにした仕事、それで得たものを使って、金儲けなりをすることについては、いままでの倍、憎むことにしました。

 

これでスッキリすると思いませんか?

 

被災地にボランティアに行くことは、悪いことだ。金をもらわないといけないはずだというのは簡単で、とても紋切り型の理論です。仕事に値札がついていないといけないという理屈は正しいのですけれども、それがいつでも通用するただしさかといえば疑問です。

 

横断歩道を渡るのは正しいことですが、歩行者信号が赤なら渡るのは正しいことではなくなる。そんな感覚に近いと考えてください。常時、ひとつの理屈で解決できるものではないんです。

 

被災地のボランティアに行くことで、被災者が助かり、そのせいでほかの地域の人たちが儲けるチャンスを失う……と考えるのは、共存共栄の精神からも、マクロの視点からも外れていると思います。経済理論として仕事に値札をつけろというのは正しくても、総合的に見ると正しくないわけなんですね。

 

ですから、タダ働きは悪いことではありません。それを使って金儲けをしたり、不当に楽をすることが悪いことなのです。

 

私はこの哲学を矜持として、必要とあらばタダ働きしようと思います。

哲学なんていうと大げさですけどね。

 

 

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