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VS東京はいい宣言だと思う

VS東京と徳島が宣言するのはいいことです

最高峰をライバル視する効用について

 

地方の人間の視点に多いのは、その地域しか知らないということです。田舎者だからとバカにしているとかそういう話ではなくて。私も田舎者ですからわかる、ということです。ひとつの地域から外に出ないで生活していると、それが当たり前であり、その地域の景色がすべてになります。

 

結果として、VS東京と徳島県が宣言したとき、「なにをバカなことを」という意見が大半になったわけです。確かに、無謀です。でも、超一流を相手取って努力するからこそ、二流や三流になれるのです。はじめから三流でいいやと思っていると、五流にもなれないかもしれません。

 

超一流を相手取ることの効果は、やり方が根本から変わることにあります。ちょっとがんばれば追い抜けそうな相手をライバル視すると、甘えも出ますし、力技でどうにかしようと考えがちです。人やお金や時間をいまより多めに使えば勝てるだろうと安易に考える、ということです。

 

でも、東京がライバルならそんな手法は通じません。なんせ相手は1000万都市です。桁が2つ違う世界が相手です。都民税収入だけで約1.9兆円。徳島は約280億円です。人でもお金でも殴りあいはできません。さあ、どうするか。諦めるのが一番簡単ですが、それはしないとなれば、知恵を出すしかありません。知恵だって東京は世界中からブレーンが集まってくるのですから、従前の方法ではダメだということです。力技は通用しません。知恵を出すことにも、知恵を出す必要があります。

 

知恵を出すには、手を動かすしかない

 

逆説的な話ですが、知恵というものはやっているうちに出るものです。他人様からお知恵を拝借している間は出てきません。自分がそんな仕事をしているのでアレなんですが、ほかの地域がやっているような企画や、おしゃれなウェブサイト、立派なパンフレットをこしらえたりすることではないということです。それは仕事をやったうちには入りません。せいぜい、パクっただけ。はじめは形から入るためにパクりでもいいのですが、往々にしてパクり終えたら更新終了、たった数年のコンサルティングでおしまい、効果がなかったとしても首長は選挙で交代しますし、職員も移動等で入れ替わるので誰も責任を取らない……ということになるんですね。

 

そんなことに予算をつけるくらいなら、古いデザインでも、毎日しっかりウェブサイトを更新する。SNSで発信する、観光客と交流することです。外向き以外にも、地域内の産業振興を手伝うといった、草の根的な部分でしっかりすることです。公務員にできない仕事だというなら、民間の人間にお願いするしかありません。東京のコンサルタントに頼むのではなく、本当にその地域で必死になってる「ヤバい人」に頼むのです(私とか)。

 

外面だけ整えても、中身が空っぽなら、観光客は二度ときませんし、このネット時代にスグに悪評が流れて取り返しがつかなくなります。また、その地域で生まれた若い世代は、中身のない場所だと知っているわけですから、これからも変わらず地域から流出し続けるでしょう。

 

別の機会にも書きましたが、大人が残した負債の尻拭いのために、ほかの地域から若い世代を取ってこようという考え方が浅ましいのです。それは見抜かれています。最近の若い世代は賢いですから。でも、ほとんどすべての地方自治体が、若者を増やせばどうにかなると思ってやっています。外面だけ整えて。

 

宣言したらば、実行せねば

 

若者を呼び込む、呼び戻すのがゴールだと思ってはいないか、ということです。派手なことをして耳目を集めればどうにかなると信じていないかということです。若者が戻ってくるということは、出て行く理由がなくなる以上のインセンティブがないといけないということです。なぜなら、外の地域で形成された生活基盤を捨ててでも戻る選択をしてもらうには、出て行くときよりはるかに好条件になっていないといけないからです。

 

呼び戻すほどの魅力があるなら、自然と出て行く人も減ります。でも、呼び戻すための広告ばかりが熱心につくられ、魅力の根幹をなす中身はそのままだったりします。地域の魅力を発信するといえば聞こえはいいですが、それは衰退している地域の産業や文化を、手を加えるでもなく宣伝するだけで、なんのカンフル剤にもなっていなかったりするわけです。

 

まず、出て行く理由がないほどに地域を充実させること。特に産業を充実させることです。仕事と将来食べるものに困らなければ、選択肢のひとつには加えておいてもらえます。それを極限まで高め、総花的な都市にはないような極端な魅力に育てあげれば、流出した人口を呼び戻すこともできるでしょう。

 

中身のないまま宣伝しても、ウソをついているのと同じです。まずは泥臭く、地味にでも、中身を充実させること。基礎がしっかりしなければ、一流はおろか、二流すら目指せません。いま地方に必要なのは、実行家であり、宣伝屋ではないと思います。

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