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AIによる創作活動とその価値について考える

AIによる創作に価値はあるか

 

風景の写真や人物の写真を学習させ、あたかもそんな風景があるかのようにAIが出力した画像を見せる、モデルや俳優(Vtuberのもっとリアル版)がいるかのように見せかける、といった使われ方がはじまったとしたら、我々はどこに、どんな価値を見出し、どう対価を払うor払わないようにすべきか。

 

AIによる創作は画家と写真家(カメラ)の関係?

 

最近、写真が趣味という人が一段と増えてきている気がします。銀塩時代と違って、手軽に、高画質で、「美しく補正」できた写真が撮れるようになったからですが、この補正についてもいろいろと一家言ある人も同様に増えているように感じます。

 

さて、カメラが出てくるまでは写真家なんてものは当然、いませんでした。その風景や人物を切り出そうと思えば、自然、画家にお願いすることになります。我々はカメラ以降の時代しか知りませんが、カメラが出てきたころ、一般に定着しはじめたころは、きっと画家は怒り狂ったと思うわけです。あんなものは創作活動ではない、写真家は芸術家ではない。ゴミだ、消えろ等々あったでしょう。しかし、いまとなってはそんなことをいう人も稀です。

 

この過程を歴史として知っていれば、AIによる創作は、カメラを手にした人間と同じになっていく可能性はあります。人間の絵画技術取得のための苦労、工夫をカメラが一足飛びにしてしまったように、AIが創作全般の苦悩を解消し、人間が考えないままに創作物が出てきて、それをすべての人間がよろこぶ、という時代がくるかもしれないわけです。

 

これは、画家、写真家、作家、音楽家に建築家、陶芸家にいたるまで、すべての創作活動を行う「一般人まで含めた人間」全体の問題です。いまは僅かばかりの興奮と、それを塗りつぶすほどの違和感しかないわけですが、創作はAIの仕事になる日は遠くない、と思うわけです。

 

なぜなら、「顔認証システムのセキュリティAI」を破るために「世界中の人間の顔を学習し、架空の人物を生成するAI」がすでにありまして、こうなってくると現実の人間は顔を変えられませんから、顔認証システムは認証回数制限などがない限り、破綻したも同じです。

 

音楽でも小説家でも同じで、人間が書いたものと比べて違和感なく存在できるほどの高みに登るため、文字通り寝る間も惜しんで、といいますか、寝る必要もなく学習しているわけです。私にとって創作は文章を書くことと、企業向けの広告をつくることですのでこれらを基準に考えますと、そもそも超一流の作家でもない限り、文章やデザインはそこまですばらしいものにはなりません。国語の授業を聞いていなかった人の書く文章はトンデモナイことになりますし、広告を作ったことがない人がワードでつくるパンフレットには、決まって「ポップ体」の文字が入ってくるのと同じです。プロが見たらゾッとするようなものが出てきても、彼らは平然とした表情で「よくできた」と思っている。同様に音楽ができない私が奏でるピアノコンサートはひどい出来栄えになるわけです。

 

AIが平均的人間よりいいものを創ったらどうなる?

 

そんななか、超一流の傑作ばかりを学んで創作したAIが生み出した「それなり」や「なかなか」のものを、大多数の「素人」が見ると、まあまあOKな品になってしまうのではないかとも思うんです。

 

プロの広告デザイナーや、小説家、ライターという職業の人が、あらゆる芸術的高みにある作品を十分に読み込んで、理解しているわけでは「ない」じゃないですか。私は小説家ではありませんが、わかりやすく小説家で例えると、すべての小説家が『源氏物語』や『土佐日記』といった古典や、『志賀直哉全集』『開高健全集』『筒井康隆全集』を読んでいるわけではないですよね。海外の作品もそうです。漢文の名作、英文学の傑作、南米文学の至宝なんて触れもしないままに創作活動をしているかもしれない。

 

そう考えると、人間が知っている範囲はたかだか知れていて、むしろAIには金輪際勝てない。それどころか、人間の創作、想像力だって、根っこにあるのは過去の作品からのディープラーニングなのですから、量で負けている時点で、質で負けるのは火を見るより明らかではないでしょうか。

 

美しい風景写真を学習して、架空の美しい風景写真を生み出すAIはすでにあるようです。それを実際の写真のなかに紛れ込ませたら。私に見破る知見はありません。すばらしい写真だ、ポスターにしてくれ!とお金を出してしまうかもしれません。

 

AIがディープラーニングで架空の肖像画を描き、それに5000万円近い値がついたというニュースを聞いて、ふと思い筆をとってみました。

みなさんはAIと創作、人と創作について、どうお考えになられるでしょうか。

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