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お給料は誰が払っている? 給料・ボーナス・粗利のはなし

バカにするな!と怒る人でも、案外わかっていない

お給料についての理解不足が不幸を招く

 

あなたのお給料は誰がくれるのか。

そうです。お客様です。

まさかとは思いますが、「社長」なんていってないですか?

社長も「給料は自分が出している」なんていっているなら、その会社は0点と判断します。社内からお金が湧いて出るわけではないからです。自社ビルに温泉か油田でも出ていれば別ですが。

 

給料はお客さんが出してくれる。

これが最低限必要な理解です。ここが理解できない会社、つまり社員と経営者さんには、ここから先の説明はまったくついていけないはずです。ですので、もし理解が追いついていないようなら、ちゃんと経営者自身、ないしは社員に教育する必要があります。「給料はお客様が出してくださる」のです。

いますぐはじめてください。

いますぐ、です。

 

給料はどうやって出ているか

 

バカにするな、給料はお客様が出してくれるのだ! と理解していても、社員の大半がどうやって出ているか理解していません。そして、経営幹部ですら理解していない。もちろん、経営者が秘密主義で、一切数字を他言せず、売上高がどうなのかも社員は知らないなどという会社もありますが、そんな会社は決まって「給料がどう出ているか」どころか、あらゆる事柄を社員が知らないために、他責的になり、不平、不満、不正(サボり)の温床になっているはずです。

 

というわけで、ここからは「どうやって給料が出ているか」を説明する方法を提示いたします。私が詳しい世界は出版と建設ですが、出版は馴染みがないと思いますので、衣食住で誰にも馴染み深い、建設業の話をさせていただこうと思います。

 

例えば、家を直す。100万円で改修するとします。その仕事を受けると、売上高は100万円です。ここまでは大丈夫ですね?

並の社員は100万円売り上げたのだから、100万円丸々儲かったと思います。それが「並の社員」です。「んなことねえよ」と思えて、かつ、適切にどれくらい手元に残るか判断できる社員は、「上の社員」です。そして、厳密にはこの計算ができない経営幹部のほうが圧倒的なはずです。だから右を見ても左を見ても、給料が安いといっている人間ばかりなのですね。厳密な数字を知らないから、もっともらえるはずだと思っているのです。

 

知らないことを「バカ」だと切って捨てるのは簡単です。私も大学生になるまではそう思っていました。しかし、知らないことを知らないまま放っておくことこそ問題です。自分の子どもが言葉を知らない、「あー」とか「うー」しかいえないのに、「ウチの子はバカだ。もう放っておこう」とはいわないはずです。親なら教えるのが当然。会社でいえば、社長が社員に教えるのが当然なのです。ここに手を抜いてはいけません。

 

さて、100万円の話に戻りましょう。売上が100万円ですと、まともな会社なら30%手元に残しますこれを切ると危険水準だと思っておいてください。粗利が30%はよくない数字です。本当なら35%は必要で、欲をいえば37%は残したい。細かい話になるのでやめますが、とにかく30%は優良可のなかだと可と不可の境界線なのです。

 

100万円の売り上げの中で30%残るのですから、70万円は材料費や職人さんの人件費支払いなどに費やされるお金です。これは一切社内に残りません。ここを理解できていない人が多いんですね。社内に残らないお金はカウントしてはいけないのです。視界に入れてはいけない。

 

残りの30万円のなかから、税金が支払われ、宣伝広告料などの経費、社員の給料、そして将来のための準備金、社長の給料、それでも余ったらボーナスになるのです。いいですか、順序としてはこの順です。経費、給料、投資準備金、社長の給料、最後にボーナスです。

 

社長がはじめにガバッと取っていくなどというのは論外ですが、基本的に儲かったから今月の役員報酬は倍にしよう! といったことはできません。社員はそんなことも知りません。知らないで、搾取していると思って逆恨んでいるのです。でもそれは、社長や役員が説明しないのが悪いのです。先の「話せない子どもに言葉を教えない親」の理屈です。

 役員報酬は一度決めると定額で、増やしたり減らしたりできない。期首から3ヶ月以内に変更するのが特例的に認められているだけなんだよ。それも変更したら損金扱いできないし、期首から3ヶ月意外に変更する場合、役員の肩書きが変わるか、業績が明らかに悪くなった場合しか認められないんだ。

一度でも教えたことがありますか?

おそらく、ないでしょう。ないから社員は「社長が」「同族が」「仲良しグループが」「俺たちの稼ぎを盗んでる」と思っているのです。

 

社員の給料はどう作られる?

 

粗利から出てきた30万円、ここから宣伝広告費として5万円、その他経費、家賃などの諸経費の支払いでまた5万円ほど、現場の確認や管理、図面の申請などにもいくらか費用はかかるでしょう。これらは必須のお金です。これも絶対に必要です。そして年金保険料の支払い。法人税に消費税、法人市民税だのという税金だって日割り、月割りでかかっている。

 

諸々引いて、手元に残るのはいくらでしょうか。この仕事だけでは社員ひとりぶんの給料も払えません。このことを理解している社員は「ほぼゼロ」です。ちゃんと教えなければなりません。なんとなく100万円の売り上げが立ったから、俺の給料はもっともらえるはずだと思っています。

 

いかに経営の世界が難しく、そんなホイホイ儲かっているわけでなく、社長も金を「盗んで」などいないということを教えないから妙なことを口走る。社員が不満を抱え、ギスギスしているのは社長の責任です。親としてやるべきことをやっていないのが原因なのです。

 

いますぐ、はじめてください。

 

ボーナスはどうやって出ている?

 

すでに見てきたように、支払いを済ませていくと、ボーナスなんて出てこないのです。でも、ボーナスを出している会社はありますよね。これもちゃんと教えていますか?

 

ボーナスはお客さんが出すのではなく、社長が優秀だから出ている

 

ということを。

どんなに反対意見をいわれても、私はここを譲るつもりはありません。

ボーナスは社長が優秀だから出せているのです。

本来、余剰となったお金は、借り入れの返済や未来の事業への投資や準備、来季以降の役員報酬の原資にしたっていいはずです。それが経営者の義務であり、また権利だからです。でも、そうしない。もしくは、そこまでしてもまだ余る。

 

社長が優秀だからにほかなりません。未来への投資なんていいから、金を寄越せというのが社員の主張でしょうが、それにホイホイとお金を出していたらボーナスどころか社員の将来の給料も払えるかわからなくなります。経営手腕があり、将来も見据え、これくらいお金があれば先々も給料が払えるだろうと準備できているからこそ、ボーナスが出せているのです。これはすごいことです。

 

私にそんな度胸はありません。リスクを恐れ、リスクに備えて貯め込みたくで仕方ない。ボーナスを払える社長は本当に尊敬します。尊敬しない人は一度経営を経験して、払う側になってみることですね。そうすればスグにわかります。

 

粗利のはなしをもう少し

 

粗利は30%が可と不可の境界線だといいました。しかし、30%を目標にしてはいけません。実際に仕事をしてみると思いの外にいろいろ起こり、3%くらい余計にお金がかかるものだからです。つまり、35%くらいを設定しておかないと「本当に危険」だということです。

 

私の肌感覚では、実行粗利率が25%の会社は5年以内に潰れます。新しい仕事が取れず、赤字になり、赤字だから宣伝も営業もできず、酷い仕事を拾いながら食いつなぐことになって、評判も社員のメンタルもボロボロになるからです。

 

社員がボロボロになっても替えが効く、まだなんとかなる、という会社のギリギリラインが実行粗利30%です。でも、これだって酷い話です。新しい人が入ってくる、メンタル耐性が強い奴が残るというモデルでまわしている会社は、人が減っている現代、早晩行き詰ります。35%必要だ、37%を目指せというのはここにあるのです。

 

粗利率を高めるか、見積りをしっかりして、バケツに空いた穴を塞ぐか、その両方か。経営管理、マネジメント、仕組み化……いろんないわれかたがなされますが、お金を漏らさないことがマネジメントの最重要課題で、どんなにマネジメントを高め、社員の心に寄り添っても「社内からお金は湧いてきません」からね。ドラッカー的なマネジメントとお金儲けは別問題。車の両輪です。一緒くたにしないことが大切です。

 

当面は「粗利率を楽に高める」「楽な方法でお金を漏らさない仕組みをつくる」これが中小企業のマネジメントと考えるといいでしょう。見積りと実行後の金額を睨んで、誰がよくこぼすか、その人がどういう仕事の仕方をしているか、こぼす原因はなにかを調べてみてください。バケツの穴が塞がり、1%でも粗利率が高まれば、経営上相当有利になるはずです。

 

粗利率30%と31%は1%の違いじゃありませんよ。ほとんどの会社が30%だとすると、それがゼロベース、原点なのです。そこに1%加えられているということは、ゼロとイチの違いと見ることもできます。これは大きな差です。

 

眉にツバしてお読みになられているかもしれませんね。30%と31%は、パーセンテージ上1%の違いですが、実際には約3%違います。売り上げ1億円の30%は3000万円ですが、31%は3100万円です。

3100万円 / 3000万円 = 1.0333… ですから、3.3%違う。粗利の漏れを抑えたり、高めたりして2%違えばどうですか? 3%違ったら? 手元に残せる金額は7%、10%となっていく。成長速度が10%違えば、日本の高度経済成長期と同じですよ。圧倒的に、圧勝です。

 

先のゼロベースの話もそうですが、他社ができないことをできている時点で相当のアドバンテージなのに、こんな調子で粗利率を35%、37%と高められた日には、当然経営上相当に優位に立てるのです。このことを経営者のみなさんがしっかり理解し、社員やアルバイトにいたるまで、丁寧に教えておく必要があります。

 

毎年10%ずつ成長するグラフでも見せながら、これができたらこうなる、みんなの給料もこう上げられる、ということです。毎日毎日、怒鳴りつけて、なだめすかして仕事をさせたり、よくわからない営業セミナーに通わせるより、よっぽど効果があるはずです。粗利を舐めないこと、そうするとお給料が増えること。わかりやすくて、即効性のあるはなしです。

 

いますぐはじめてください。

いますぐ、です。

 

まとめのようなもの

 

以前、値決めの秘訣講座でお話しましたが、料金設定の発送をコペルニクス的に転換しなければ、この苦境、ジリ貧状態は脱せません。しっかりと社内に利益を残し、事業を継続し、社員に給料を払い、休みを与え、できることならボーナスも出す。

 

そのためには、粗利が必要なんです。「いいものを安く」はお題目でしかありません。安くしようと努力した結果、「安いものがいいもの」と順逆が反転してしまったお客様を集め、始終相手にすることになれば、会社がたひっくり返るからです。大切なのは、お客様が「いいと思ったものがいいもの」だということです。

 

安く売るのは簡単です。そんなこと、小学生でもできます。あなたがまともな大人だという自負があるならば、高くても「きもちよく」買ってもらえる工夫をすることです。それこそが商売であり、それができてこそ、お客様から「お給料」をいただくに値するのです。

 

この発想にいたれるのは、経営者的能力を高めたごく一部の人間だけです。はじめからガメツイだけの人もよく似た行動を取りますが、結局「三方よし」とならないので破綻します。お給料がどう出ているのか、ボーナスは誰が出すのか、粗利を高めることがなぜ重要か。これらお金の流れを把握した結果、たくさん粗利を残せるものってなんだろう、それでいてお客様がよろこんで支払ってくれるにはどうすればいいだろうと考えるようになるのです。

 

おそらくではありますが、あなたの会社はこのなかのひとつたりとも社員に教えていないはずです。教えていても、社員は理解していないものと思います。

 

いますぐはじめてください。

いますぐ、です。

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