面接に私服を指定してくる会社がいい会社の理由
就活生は平服(私服)問題を見誤っている
スーツでなく平服指定をしてくる会社が「いい」会社
「当日はスーツではなく、平服でお越しくださいますよう、お願い申し上げます」
このような文面が送られてきたとき、就活生は恐怖するのです。
本当に私服で行ったら落とされるのでは? 忖度してスーツで行くのができる大人では?
結論から申しましょう。どちらを選んでも「落ち」ます。
なぜ断言できるか。どちらの会社もあるうえに、私が採用を経験しているからです。
このような曖昧な状態をみなさんは許しがたい、度し難いと思うでしょう。
しかし、それは大きな間違いなのです。
なにもいわず、一律スーツでこさせる会社より、わざわざ平服を指定して「反応を見てくる」会社のほうがいい会社なのです。
平服指定は就活生いじめではない
もっともポピュラーな事例は、アパレル関係でしょうか。私服を見たい。なぜなら、私服を売る会社だから。これなら理屈として、スーツで行ってはいけないことがわかりますよね。でも、それだけではありません。
平服を指定するのは、その会社の風土にあった学生や戦力を獲得するためのものなのです。
会社というものは一律横並びの学校とは違います。文科省が管轄していて、こうしなさいと法律で定められているものではありません。自動車メーカーでも高級車を売る会社もあれば、お買い得な車を売る会社があるでしょう? 高級車でなければいけませんという法律、ルールがないからです。
体育会系な会社もあれば、スマートさを売りにしている会社もある。一方で、前者は人と人のつながりや触れ合いを大切にしているけれども、後者は数字しか見ていない。そんなこともある。それらすべてが自由競争のなかにあるわけです。だからこそ、各々が個性を出して健全に発展している。
いま、面接において平服でこいというのは、「そういわれてもスーツで行く」という人間が欲しいのか、「素直に平服で行く」人間が欲しいのか、人間性を見ているわけです。もちろん、奇抜な私服を着てこないか、または着て欲しいのかといった、各社独自の価値基準を示してくれているのです。
もしこの選別もなく、リクルートスーツで面接を受けたとしたら。あなたが「そうはいわれてもリクルートスーツ派」なのに、社長を筆頭に「素直に平服派」だったり、「奇抜な私服派」の会社に入ってしまったら、お互いに苦労をすることになるでしょう。
会社は、というよりも、社会は学校と違ってとても可塑性を持っています。柔軟なのです。ですから、ひとつの価値基準ですべての会社が採点をしないと「おかしい」と思うのであれば、あなたの頭はカタいといわざるをえません。
「価値観が違うのか、選んでくれなくてありがとう、助かったよ」
と思うべきところなんです。
蛇足
ちなみにですが、私は「平服でお越しください」といっているのにスーツできたら問答無用で失格派です。会場入りも許さない勢いです。
これは、相手のことがわかっていないのに、自分で勝手に判断することを嫌うからです。相手のことや仕事のことがわかってきて、適切に忖度できるならいざしらず、そうでない初期段階なら、恥をしのんで聞けばいいのです。それに怒るような人とは取引できませんし、これが採用の場面なら、そんな会社に入ったら苦労するでしょう。
とはいえ、いちいち全員に聞き直されるのも面倒なので、「平服といったら平服。スーツできたら失格」と事前に伝えておくんです。で、着てくる服を見ます。ファッションのセンスはないですけど、なんとなく似合っていて、本当に普段から着ているかどうかを確かめることにしています。
会社とは組織です。組織とはチームのことです。価値観が違う人間がたくさんいる組織は、強そうに見えますが弱いです。そんな多様性は、500人を超えてからでなければ役に立ちません。中小企業なら、少数精鋭。全員一丸が正しいので、現有戦力に近い人を採用するべきです。
そのためにも、平服問題を最大限活用するのはいい手だと考えます。
就活生にとっては大変に見えますが、それはお互いの寿命を無駄にしないためのテクニックだと理解して、あわないことを「よろこぶ」くらいの気構えで就職活動を続けてもらえればと思います。
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