1. HOME
  2. ブログ
  3. 100年住宅は必要か?|これからの住まいを考える

100年住宅は必要か?|これからの住まいを考える

100年住宅のかんちがい

 

私は昨今耳にする100年住宅というものに懐疑的な思いを抱いております。

このたびゲームセンターを新築するにあたり、真剣に考えたのですが、住宅は100年もつ必要がないと思うのです。

 

そもそも、住宅の設備や技術は日進月歩。10年前にスマートハウスなどというものは耳慣れない絵空事でしたし、V2H※住宅にいたってはいまでも「なんやそれ?」だと思います。それだけ家って変わっているんですよ。

※Vehicle to House : V2H。電気自動車と家を接続して、ガソリン不要、車を蓄電池代わりにする最先端の家のことです

 

そんな家を100年もたせる意味があるのか。

もちろん、長持ちして、断熱や遮熱性能が高く快適で、初期投資は高くても長期的に見るとお得な家というものはすばらしいです。安かろう悪かろうの家よりも、ぜひとも高性能な住宅を建てるべきだと思います。しかしながら100年もたせることがステータスのように語るのは、売り手の策動にまんまとやられてはいまいか、と思うのです。

 

私が考えるいい家は、1世代住宅です。1世帯住宅ではありません。1世代住宅。大人になって家族を持ち、家族が巣立つ年齢になり、最期を迎える。このサイクルのあいだ、満足できる性能を満たしていればよい。そういった考えから、1世代住宅、終身住宅こそがベターな選択だと考えるのです。

 

100年もつ家を建てたとしても、20年後には古くてどうしようもない家になります。もちろん、住むぶんにはなんの問題もありません。しかし、20年後にはいまよりずっと便利な食器洗浄機やキッチンができていたり、高性能なソーラーパワーで電気なんて買わなくてよくなっているかもしれません。

 

本当に100年後も価値ある住まいを求めるなら、そんな技術の進歩が見られないような伝統的な日本家屋に住むしかないと思うのです。つまり、夏は暑く、冬は寒い。風通しがよくて高性能二重サッシなど使わない家、ということです。時代の変化など関係ない、そんな日本家屋ならば100年後も間違いなく希少価値として認められます。住むのが大変なので悩ましいですが、私は心の底からこういう暮らしに憧れます。

 

でも、新築する場合、こういった建物は選びませんでした。

なぜか?

そもそも、家を欲しがる人は、新しいものを買おう! と思える人です。つまり、どちらかといえば新しいもの好きなんです。そんな人が100年住宅を買ったとして、半分の半分、25年後、自分の家が相対的に古くなったとき、心から満足できるか。

 

きっとできませんよね。25年後の技術で、もっといいものが欲しい! と思うはずなんです。車でも、パソコンでもそうですよね。スペック、つまり性能がいいものが好き! という人に終わりはないんです。一方で、そういうものにこだわりがない人は価格で選びます。100年住宅はそのどちらの人も最終的に満足させない家なのではないかと思うのです。さらに付け加えるならば、レトロな住まいが好きな人にも訴求できません。誰もしあわせにできない可能性があるんです。それを知ってか知らずか売る、というのは、不誠実なのかもしれません。考え過ぎでしょうかね。

 

つまり、現時点で高性能な家だけど、そのまま100年もたせようという家ではなく、どんどん作り替えることができる家、組み換えやすい家こそ、本当の意味での100年住宅たりえるのではないか、ということです。

 

将来、もっといいキッチンにしようですとか、断熱性能を高めようとしたとき、柱一本、壁一枚動かせないような設計の家ではダメだということなんです。

 

そこまで考えて建ててくれるのか。

マーケティングリサーチや心理学研究に基づいた売り文句で作りあげられた商品としての住宅は、必ずしも我々をしあわせにはしないと思うんですね。効率的、平均的であるがゆえに、誰も満足させられない。商業主義といいますか、平均の罠に陥っているのではないかと。

 

家を買うということは、いまとなってはリスキーで突飛なことです。それでも買うという人には、平均の理屈を当て嵌めてはいけないと思うんです。一般的なかたは、賃貸で上等なんですから。家を買うという時点で「常識外」なんです。だから、みんなと同じで効率的というものを追求したって仕方がないし、言葉巧みにパッケージングして売り込んでしまうのもよろしくないと思います。

 

みんなが100年住宅に住むから、私も、ではなくて、その利点と弱点を十分に説明し、あえて100年もたせるつもりはない、20年後に設備を入れ替えられるような設計を選びましょうといってくださるような会社に依頼するのがいいのではないかと思うのです。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


関連記事

調べものですか?

最新記事

おすすめ記事

特集記事

About Author