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耳触りのいい間違いと腹立たしい正解のどちらがいいか?

過程が正しければ結果が間違いでもいいのだろうか

詐欺的コンサルタントが一番儲かります

 

私のような木っ端野郎がいうのもなんなのですが、コンサルタントという商売は、耳触りのいいことをいったほうが儲かります。

 

私が「成長率は120%以内に抑えてください。危険です」というのと、あるコンサルタントが「わずか3年で500%の急成長!!」というの、どちらが魅力的に見えますか? 当然、後者ですよね。後者のセミナーに殺到し、私は呼ばれもしません。当然です。黒字倒産の話なんて聞きたくないですもんね。

 

「社員が主体的に働くセミナー」「民主的なボトムアップ経営」といった、イマドキな内容のセミナーは大好評です。「社員が経営者視点を持って、自発的に働く」ですとか、「競争主義に陥らず、みんな平等でニコニコ」みたいな社内風土をどうつくるかというのは誰もが求める理想なのでしょうね。

 

でも、はっきりいって、理想論です。もちろん、社内の雰囲気がいいというのは大切です。とはいえ、競争の文化を廃して社内の一番下のラインのあわせて勝つ! なんて魔法のようなことで達成できるはずがないのです。そんなことをしていたら遠くない未来、会社が傾いてギスギスどころではない職場になります。

 

GoogleでもAppleでも、社内の競争は恐ろしく激しいようです。でも、社員はオープンスペースに座って、のんびりと会話や食事を楽しんでいる風景が紹介されたりします。社内の競争があることが悪いことであるように語るのは間違いです。競争し、成長する過程を通ったのちに、結果として社内の雰囲気がよくなる。そういう企業風土ができるだけのことです。目指す場所は同じでも、競争を廃止して平等主義を貫徹すると、まったく違う場所へ到達してしまいます。その場所は、ほぼ間違いなく、破滅的なゴールです。

 

また、「社員が自発的に働くようになる」などということはありえません。ボトムアップ経営だって嘘もいいとこだと思っています。それらは人材戦略なんかでどうにかなるものじゃありません。人相学まで持ち出して、どういう人材を採用すればいいかを語り、「それでは我が社と提携している社員募集サイトを使ってくださいね」というセミナーの多いこと……。儲かるんでしょうね。人材派遣や新卒採用ビジネスと組むと。

 

いいですか? 人間は本来、怠惰を望む生き物です。経営者であるあなただってそうだと思います。社員が自発的に動き、ボトムアップで企画が出てきて、な〜んにもしなくても儲かればいいな、と思っているから、そんな思考になるのです。あなたが怠惰を望んでいる証拠です。そもそも、そんなに自発的に動け、考えられるなら、自分で社長をやりますよ。社員でいるということは、やる気がないということです。社長の仕事は、そんな社員に企画を与えるか、鼻先にニンジンをぶら下げて手間なく走ってもらうこと。その方策を考えることです。

 

考える仕事を放棄して、社長や上司が務めるわけがありません。

一番怠惰なのは経営陣なのかもしれません。

でも、そんなことを指摘すると嫌われますので、ふつうのコンサルタントはおくびにも出しません。

 

私はそういう、わかったうえでやっている「耳触りのいい間違い」が大嫌いです。

人材戦略や社員教育をしておけば、あとはなにもしなくても自動で儲かる、なんて甘い話はありません。私は社内の改善と社員教育を専門としておりますが、社内を改善するとき、一番はじめに手をつけなければならないのは社長の改善です。また、社員を教育するときには、社長も同時に成長してもらわなければなりません。

 

トップが変わらないのに現場が変わるわけがなく、社員だけ勉強して賢くなって社長がそのままだと足元をみられて出ていかれることになります。それが嫌ならば、トップが変わり、トップ「も」成長するのです。「も」といったのは、社員だけ成長するのもダメですが、社長が勉強マニアで社長だけ成長するのもダメだからです。社員との知識の差が広がりすぎると、社員がついてこられなくなって諦めてしまうからです。いきなりMBAの理論などを社員にぶつけてしまう社長などがそうです。

 

清く正しい理屈で人を動かすよりも、不純な理由で行動させるほうが簡単で効果的です。「社員教育講座全5回を満了したら、3000円あげるよ」でも構いませんし、実際の業務でも「これだけがんばったら、ボーナス査定がこうなるよ」と伝えてあげることです。それが続いて習慣になれば、鼻先にニンジンをぶらさげたっていいのです。

 

教育学の研究では、報酬をチラつかせると好きだからやっていたのに、ものをもらうためにやるようになると情熱の火が消えたり、クオリティが下がるとされていますが、中小企業にそんな輝かしい人材がどれくらいいるでしょうか。嫌々仕事をしにくるだけ上等というような人材ばかりのはずですよ。だったら、ニンジンをぶらさげたって同じことです。また、1人や2人ピカピカ社員がいたとしても、大半はやる気がないのですから、チームの底力を上げたほうが圧倒的に仕事効率は高まります。たったひとりの80点の人間を90点にするより、50点の人間3名を60点にするほうが楽で儲かるのです。

 

そんなわけで、私は自分が儲かるためのセミナーなんて頼まれたってやりたくありません。嫌われようが、恨まれようが、みなさんが儲かるためのセミナーをやります。

本来、コンサルタントというものは、儲かったぶんの売上の一部を頂戴するのが筋だと思っているのですが、考え方が古いんですかねぇ?

でも、徳島の、田舎のコンサルなんで、全人的付き合いかたを通じて、一緒に笑って一緒に泣いてという昔ながらのやりかたでやっていこうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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