1. HOME
  2. ブログ
  3. そこそこ社員で勝ち残る、人間性採用と教育がすべてを決める!

そこそこ社員で勝ち残る、人間性採用と教育がすべてを決める!

いい人材ではなく、いい人を採用する

 

ある本にも書かれていましたが、リッツカールトンのホスピタリティを研究する専門家による採用基準というものは、いつの時代も使えると感じます。私も採用基準はここに置くべきだと思っている「鉄則」ですね。どういうものかといえば、能力の高い人材ではなく、性格的にいい人を採用するという拍子抜けするほど当たり前な話です。

 

中小企業には能力が高く、性格的、人間的に立派な人材なんてきません。

手塩にかけて育てた子女ならいざしらず、社長よりも稼げる人間もきませんし、社長どころか、そのお子さん(次期社長)のラインすら超えないのがふつうです。ですので、はじめからいい人材はこないと思った方が正しいのです。期待するだけ無駄ですし、まかり間違って入ってきたら自分の力が十分に発揮できないからと辞めていきます。だからこそ、リッツカールトンのような採用基準を採るわけです。もちろん、リッツカールトンには中小に比べてはるかにいい人材がきます。それでもふるいにかけるべく使っているのが、人間性の採用なのです。職能的にいい人ではなく、人間性がいい人を採るということ。具体的には、電車で誰もいなくても、優先席には座らないような人を採るということです。

 

商売をするということは、つまるところお客様への配慮です。ドラッカーは顧客の創造が事業だといいましたが、創造するにはお客様となりそうな人たちのことを常に考えているくらいのことは必要です。売りつける相手ではなく、困りごとを解消してあげる対象として、いつも悩み事はないかと考えてあげる姿勢が必要なのです。

 

そういう姿勢を持っているのは誰か。やはり、人間性のいい人なのです。目の前に具合が悪い人がいるのに優先席に座る輩は論外ですが、そうでなくても混んでいたら座らない人を採る。そこからさらにもう一歩進んで、ガラガラでも座らない人を採るのです。なぜなら、優先席に座っている人がいたら「すいません……」と声をかける必要がありますよね。相手が小心者なら、その声かけができないかもしれません。そこまで考えて、配慮して、だったらはじめから座らないと思える。普段からそうやって、何手も先を読んで動ける人でなければ、高い「ホスピタリティ(おもてなし)」など提供できないのですね。「いわれたらどけばいいや」ではダメなわけです。

 

これは生半可なことでは身につきません。いわれないと気がつかない人は、根本的な部分で、いわれなくても気がつく人と違います。何十年もの人生の中の、はじめの数年間で造り上げられた人間的基礎は、そう簡単には変革できません。ですから、はじめから人間性で採るほうが教育コストやトラブルリスクを考えればお得という側面もあるのです。

 

人間性だけで採用してもどうにかなる

 

人間性採用は一回の面接で判断できるものではありません。アルバイト、試用期間を最大に使ってでも確認すべき事項だと思います。そのうえで人間性が確からしいとなれば、あとはどんなに職能的に未熟でも、本人も努力しますし、会社もサポートすればそれなりにはなります。会社で困るのは、人間性に問題がある社員が1人でもいて、その社員のせいでクレームが発生し、世間の評価が地に落ちること。また、ダメ社員のせいで社内の士気が下がることです。未熟者はそこまで問題になりません。鍛え直すことができれば構わないはずです。でも、人間性に問題があるのは困ります。どうしようもありませんから。シャキッとしていて見栄えよく、お客様に対して失礼や仕事上のミスがあっても素直に、真摯に向き合える。そんな人間を集めることです。いい大学を出ただとか、すごい資格を持っているなどという要素は、入社して数年もすれば意味がなくなります。大抵のスキル(発想力などは別かもしれませんが)は教育次第で埋め合わせられるからです。

 

新入社員は古参社員のケツ叩き

 

自分で事業を興した社長ははじめからトップなので忘れがちですが、一般に新人に抜かれることは相当な苦痛なのです。抜かせまいと足を引っ張る社員も出るくらいですからね。これは上司が部下を育てたら昇進(ポストだけでなく、給与のベースポイントが上がるなど)する仕組みを導入することでなるべく和らげるとして、後ろ向きの争いではなく、前向きに走らせる工夫をしながらケツを叩くために新卒者はドンドン採るべきです。仕事に慣れた社員が手を抜くようになる、社長に対して横柄になる、これらはいずれも新人が入ってこない会社の典型です。人間、自分を脅かす若い力が入ってくると発奮するか、くだらないプライドを守るために会社を去る(なにも守れてないと思うのですが……)ものです。新人にケツを叩かせてください。これは社長が働けと怒鳴る3倍は効果があります。

 

お客様満足度をあげるためにすべきこと

 

社員の満足度は測定していますか? まず、していないでしょうね。人間、自分が満たされていないと他人に優しくなどできないものです。経済にトリクルダウンは起きませんが、人間には起きます。身に余る光栄、幸福というものはお金と違って、どの人間も器の大きさに大差がないので、同じくらい満たしてあげれば周囲の人にしあわせを配って歩こうとするものです。いつかは自分にも戻ってきますからね。なので、お客様満足度をあげたければ、社員の満足度をあげることです。仕事上の不満にはじまり、信頼を勝ち取れたらプライベートの不満まで解消してあげることです。お客様満足度をあげろ! と号令をかけてもなにも起こりません。なにをすればいいか不明確だからです。でも、社員をしあわせにする、満足度を測定するということは「いますぐ」はじめられます。つまり、ワンクッションありますが、すぐにでもお客様満足度をあげられるということです。ある社長は社員の借金の肩代わりまでしたそうですが、「それで儲かるなら、数百万のリスクなど安いもの」だそうです。

 

おわりに

 

商売も結局は人と人との関わりあいです。同じ社内にいる人間を満足させられないで、お客様を満足させられるわけがありません。お客様を満足させられるような人間性の人物を採用し、彼らの幸福の器を満たし、費用も時間もとことんまで付き合って教育する。いい人材などという空想を追うのをやめて、現実的で着実な採用と組織強化に望んでいらだければと存じます。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


関連記事

調べものですか?

最新記事

おすすめ記事

特集記事

About Author