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編集者&雑誌ライターが明かす「これだけは抑えたい」いい写真を撮るテクニック

写真が下手なら時間と枚数を

 

広告をつくるとき、一番困るのが素材となる写真がヒドいことです。こんなことを書くと、お客さんに嫌われてしまいますが、あえて書いておきます。写真の悪さ、レタッチでどうにもならないものは、広告の完成度に直結します。広告を依頼する人は無頓着なことが多いのですが、最近は誰もがカメラを持ってパシャパシャ撮ります。スマホなので手軽で、かつ昔のフィルムのように枚数制限なんてありません。ですので、一般の人でも写真への感度、センスは桁違いによくなっています。インスタ映えなんていうのもその結果起きていることです。普通の写真じゃもうダメなんです。

 

だからこそ写真のできが悪いと、その会社のセンスがない、信用にならない、「バイブス上がんない」となって、選ばれなくなるのです。

 

(いい写真が撮れることは、もはや会社や個人の価値や信用とイコールになりつつあるのです)

 

にも関わらず、適当に撮った写真を平気で送ってくる、どんなにお願いしてもクオリティを上げようとしない、「下手なら100枚撮れ!」なんて具体的にいっても、2枚(でも、怒鳴り散らす以前に比べれば倍の成果です!)しか撮らないんですね。まあ、すでにどうすればいいかは書いてあるので繰り返しになりますが、写真の心得がないなら、とにかく撮りまくること。あらゆることを考えて、あらゆる画角から挑戦的に枚数を撮ることです。それでデザイナーなり、心得のある人に見てもらって、ベストを選ぶ。これが一番簡単です。さらに、写真の腕前も上がります。下手なら撮る。数打ちゃ当たる作戦でいきましょう。

 

いい写真を撮るコツ

 

でもまあ、効率的にいきたいというのもわかります。効率を口にする人は、大抵やる気がなくて、やらない理由のために効率のいい方法を学んでいるところだなんていうわけですけども、今回はそういう話ではないのでパスするとして、早速効率的ないい写真を撮るコツをあげておきます。もっともこれは、ドシロウトの私が写真を撮るときに気をつけていることであって、展覧会に出すようなイケ過ぎている写真を撮るテクニックではありませんので、ご了解ください。

 

 

思いっきり寄る

撮影に際して、写真の心得がない人がよくやることは、風景を収めようとすることです。画角がデカくて、なにを撮りたいのかわからなくなっている状態。会社の製品でも、社員の写真でも、どうでもいい情報がてんこ盛りの、観光地で撮影するような写真を撮りがちです。この写真の悪いところは、主題がまったくわからなくなるだけでなく、使用するために拡大しなければならなくて画質も悪くなり、かつ撮った時点で対象物の善し悪しが確認できない(カメラやスマホの小さい画面では表情なんてわかりません)ことにあります。無頓着の権化のような写真が出てくる黄金パターンなのです。ですので、見切れるくらいまで寄ります。下手だからこそ、主題に寄って撮るのです。焦点距離の短いカメラを構えてください。余計な情報がないほうが、素材として使いやすく、センスやカラーのバランスがいらなくなるので、必然的に見栄えがよくなります。

あなたのその写真、「富士山をバックに撮った記念写真」「草千里に行ってきました!」みたいになってませんか? 背景のバランスが大き過ぎやしませんか? 背景なんて1か2で十分。人やモノが10であることを目指して、寄りに寄ってください。

この写真は富士山が写っていますが、主題がどちらか明確ですよね。まずは必要な情報に特化してください。

 

机を映さない

よく見かける社員の写真などには、なぜか机が写っています。デカい会議室用の机の隅に、ちょこんと座った人間を遠くから撮っているだとか、ゴチャゴチャのデスクやら、ホワイトボードに貼られたスケジュール表、背景のロッカーやパソコンが目に付く状態で撮影しているわけです。これも先の「思いっきり寄る」と同じことなんですが、要らない情報は映さないでください。全身写真なんて要りません。選挙ポスターくらい「顔」を重視すればいいのです。ただ、顔だけ撮ると文字通り頭でっかちに見えるので、頭身をよく見せるためにバストアップくらいにするべきです。

 

有名雑誌の対談写真、社長に聞く! みたいなコーナーがあれば開いてみてください。きっとお給金の高いカメラマンが入っていますから、いい写真になっているはずです。そういう写真を見ていて気づきませんでしょうか。机の面が広々と写っていないことに。場合によっては机自体なくて、椅子に座っているだけの写真だとか、机がある風を装って手を組んだり、ろくろを回しているようなジェスチャーをさせて撮っていることもあるのです。

WEB業界やIT企業の社長がよくやる「ろくろ系」のポーズですね。水瓶でもつくってんでしょうかね。ただ、やたらと好まれますし、プロも要求しがちです。

 

この写真をご覧になればわかるように、人物周辺にはモノは要らないわけです。いろいろあると情報がぼやけます。また、人物自体が背景と一体化してしまい、活力がなかったり、怪しく見えてしまいます。机や周辺にモノを置かない。できることならこの写真のように、背景と同化しないような服装、色あいを意識するといいでしょう。ダークのスーツを着ているならよりダークな背景で撮影して浮き上がらせる、などの工夫が必要です。一番ラクなのは、白背景に派手な服なんですけどね。社長さん相手に救命胴衣のような服を着せて撮影しろとはいいにくいかもしれませんが……(それはそれでおもしろいんですけど)。

 

背景に意味があるときは動きも込める

背景のある写真は私のような素人には不向きなんですが、どうしても場所が重要な場合がありますよね。例えば、会社のなかや現場で撮影したというライブ感が必要な場合です。こちらをご覧ください。

 

こちらの写真、原則的にはダメです。ピントがあっていたとしても、背景の情報が大き過ぎて主題がぼやけます。でも、選挙演説をしている場所が重要な場合はこうするほかないのかもしれません。ドブ板的に、別に綺麗でもなんでもない近所の公園で演説しているということに、その地域の人なら気づきますよね。「あ、ここ知ってる!」ということが大切なら、原則破りもやむなしです。そちらが主題なのですから。ただし、ライブ感を求めて原則を破るときには、必ず動きを足してください。さも作って撮りましたよ〜。という証明写真のようなものはダメです。いくら現場の臨場感や親近感を生もうとしても、作ったことが悟られれば逆効果。このへん、人間は敏感に反応します。対談写真などで話し合ってる風を装っているときに、両方喋っているだとか、どちらも仏頂面だとかはダメです。会話は片方が話して、片方が聞く。読者が対談する人物に抱くであろう、話し手と聞き手のイメージにあわせて、写真上でも聞いてる風を装ってもらってください。私はプロではないので、実際の対談中に撮った写真で一発OKになった試しがありません。本当のライブ感は、素人にはおそらく無理です……。

 

時間をかける

「はい、じゃあ集まってください。撮りますよ〜」

これ、ダメです。絶対にやめたほうがいいですね。写真を撮ることがわかっているなら、被写体全員に準備時間を与えてください。身だしなみタイムや、並び順タイムです。服装の色合いや、撮る場所の選定もそうです。流れ作業で撮った写真には、ロクなものがありません。写真に意図がないんですから、主題もへったくれもないのは当然です。社員の写真でよくあるのが、デスクに座って写しているのですが、カバンやらゴテゴテとストラップのついた携帯電話がポケットから出ているだとか、ネクタイが曲がっている、メガネが傾いている……いろいろとあとで見るとガッカリするポイントが出てくるものです。芸能人とプロカメラマンですら、毎回身だしなみを整えて、お互いにイメージのすり合わせをしてから撮影に入るんです。撮られるプロ(ほど美しくない我々は当然)以上に努力しなければいけません。同時に、撮るプロほどの腕がないなら、ものの数秒で撮影が終わると思わないことです。プロだって何時間も撮ることだってあるんですから。

 

そうやって手をかけて撮った写真には、なんとなく魂が宿ります。そういう写真は広告でもHPでも、それ自体が力を持って語りはじめます。「写真1枚くらい……」とおざなりでものづくりに挑めば、お客さんはそのことをたやすく看破します。あなただって見抜けるはずです。「あ、手抜いてるな」って。だとしたら、そんな写真を撮って、世間様に見せることは、宣伝どころか大きな損失です。真面目にやらない会社だ、信用できない人だと思われるわけですから。

 

昔から、神は細部に宿るといいます。本当ならプロにお願いすべきですが、予算の都合でできないなら、可能な限り品質を高めるように努めるべきです。「写真1枚くらい」でも。

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