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逆説の「売れる広告チラシ」の作り方

売れる広告は、売れない広告の法則を知っていれば作れます

 

どうもはじめての方は、はじめまして。徳島県で広告デザイナー兼PRコンサルタントもやらせていただいておりますサトウと申します。

そんな前置きはいい、さっさと売れる広告の作り方を教えろっていわれちゃいそうなので、早速本題へ。

広告デザイナーとしての手の内を明かしてしまうので、コンサルタントも含めてお仕事がなくなっちゃうんですけど、「どうすれば売れない広告になるか」を知っていれば、売れる広告をつくるのは難しいことじゃないんです。でも、世の中のほとんどの会社は売れる広告を「拒否」します。いいですか? 「拒否」です。「売れるのにどうして拒否するわけがあるんだ!」って批判の声が飛んできそうですが、内容が気に入らないから拒否するんです。これは私の少ない実体験に限りません。同じように広告デザイナーをしている人、経営コンサルタントをしている人、大阪でも東京でも、同じように「こんな広告は嫌だ!やめろ!!」といわれて拒否されるんですね。で、当たり障りのない、オシャレ過ぎない感じの広告を出して、チャンチャン。いつものように全然売れないけれど、社長は満足げ。顧客満足度でいえばそれでいいんでしょうけど、いつも良心が痛むわけです。もっと売れるのになぁ、って。だからここで公開してしまおうと思った次第です。それでも拒否したければどうぞなさってください。

 

社長だけが満足げな売れない広告の法則

  • なにをして欲しいかわからない
  • 自慢話が長い
  • 人気(ひとけ)がない
  • 嫌われる覚悟がない
  • 全然お客様視点じゃない
なにをして欲しいかわからない

売れない広告のなかでも代表的なのが、自動車メーカーや大手化粧品メーカーのようにただ車が走ってるだけ、化粧水が載っているだけ、綺麗な女優さんがポーズをとっているだけ。この手の広告です。こういう広告をつくると、社長はとってもよろこびます。社長が男性なら娘や愛人を使ったり、女性だったら息子に衣装を着せたりしがちですが、それはもう大よろこびしていただけます。で、売れません。こういう「なにをして欲しいかわからない」広告は、いまさら社名や商品名を連呼する必要がない大手だからできることなんです。それは莫大な広告費をブランドの維持に使える巨大企業の戦略で、明日をも知れない中小企業が採るべき広告戦略ではありません。そもそも広告でブランドなんて確立されません。ブランドを確立していない中小企業が、知名度とブランドを維持するための広告を真似しても、売れるわけがないのです。なぜって、「信用がない」からです。

 

あなたが広告を打つ理由はなんですか? かわいい愛娘や息子、愛人を自慢するためでしょうか。有名女優を起用できることのアピールでしょうか? 違いますよね。自社に足を運ぶなり、一度商品を手にとってもらいたいから、あわよくば買って欲しいから広告を打つんでしょう? だったら、そのことをしっかり伝えないといけません。綺麗な女優さんを載せて、オシャレなキャッチコピーだけ掲載し、会社情報だけなんて広告を作ってはいけないのです。どうしてほしいかわからなければ、読者は行動しようがありません。それどころか読者にすらなりません。お忘れなきよう。

 

自慢話が長い(商品説明が長い)

これも売れない広告に多いパターンです。自社製品の自慢話ばかりする広告のなんと多いことか。このタイプの広告を好む社長さんは、きっとお客さんにも自慢話ばかりしています。もっと自分の話を聞いて欲しいと思っているはずです。そういう態度が一番嫌われることは、古今東西あらゆる自己啓発書、心理学書、ビジネス書に書いてありますが、人間の性ですから、まあ治りません。私もずっと気をつけていますが、治った気がしません。さて、広告において自慢話が長いというのはどういうことか。例えば、

ボクはハーバード大卒の国際弁護士で年収2000万円です。身長180cm、容姿端麗。大学時代は……(中略)……こんなボクと付き合わない理由なんてないよね。

あなたが女性なら、ボクの部分をワタシに読み替えて、適宜条件を入れ替えてください。で、こんなことをヌカす奴と付き合いたいと思うか、ということです。ギャグでやるという手はあります。社長がデカデカと広告に載って、自己紹介をしまくるという広告はあります。これはこれで成功しますが、それは目に見えてギャグだからです。自社がいかにすばらしいか、商品がどれほどすごいのか、聞いたこともない専門用語が飛び交い、聞いてもいないことを延々と並べてあって、「うわあ!すごい!明日買ってこよう!」となるか。なるわけないんですね。そんなことをするくらいなら、いきなり「付き合ってください!」というほうがずっとマシです。嫌われる前に少なくとも好意だけは伝えられますから。

 

最近よく見かける、ホテル予約サイトの比較サイト(ちょっとややこしいですね)のテレビCMを思い浮かべてください。このサイトを使わない手はないと思わせるように作ってあります。そこに自慢なんてありません。苦労話もありません。細かい商品説明も利用方法の解説もなく、これを使えばお金を無駄にしなくて済むということだけ伝えています。これは100%お客さんの利益に直結する話です。そして、なにをして欲しいかも明確です。ウチのサイトで宿を探して欲しいのです。検索してきてねといっているだけ。とてもシンプルなつくりです。お客さんにとって利益になることを、わずか一言や二言で伝える。これでいいのです。

 

ちなみに、このタイプの広告を出す社長は自分で買い物をしない社長です。または、広告を読まない社長です。他社の、しかもまったく興味のない業種の広告に目を通したり、日用品や食品はどこで買えば安いか、商品ごとに把握している社長なら店員に自慢されるのがどれほど鬱陶しいか身を持って知っています。私の師匠は「社長が自分で服を買いに行くか聞きなさい」といっておられました。アパレルショップに行くと、店員がすっ飛んできますよね。私は大嫌いなのでその時点で二度と行かないと誓うのですが、聞いてもいないのに店員がトレンドだの今年の流行色だのを語りはじめたりしませんか? ああなると、首元に刃物を突きつけられても買わずに帰ろうと決意するわけですけれども、売ってるほうからすればそれがわからないんです。親切心でやっているのでしょうが、自分が客になったことがない、もしくはほかの方法を知らない、売る側になるとキレイさっぱり忘れるのいずれかで、わざわざ嫌われるようなことをするわけです。日常的に自分で服を買っていれば、「されて嫌なことは人にしない」という原則のとおり、お客さんにもしないはずなんです。

 

そもそも、細かい機能、性能が気になるお客さんは、小さく表記してあるだけでもわかります。あなたが説明する必要はありません。車を買うときエンジンの回転数やタイヤ径を気にする人は説明されなくても勝手に把握します。パソコンだって電源のパワーやグラフィックボードの性能が気になる人は事前に調べるか、商品のタグなりを見ます。自分でどうにかするのです。大切なのでもう一度いいます。あなたが説明する必要はありません

わかる人は放っておいてもわかる。わからない人はそもそも気にしてないので説明して欲しくない

なのに、前述のように「ボクはハーバード……」ですとか「なにかお探しですか〜?」とやるのです。広告でこれをやるということは、わざわざ高いお金を出して嫌われようとしているのと同じです。「客がバカだからこの商品の価値がわからない。だから説明する必要がある」という人がおられるようですが、バカなのはあなたではないかと思いますね。お客さんはそんなことどうでもいいのです。それは、関心を持ってくれない程度の条件ないしは商品なのです。それをどんなにアピールしたって、ますます嫌われるだけです。自慢話が長い(商品説明が長い)広告は、いますぐやめるべきです。

 

え? どうしてもおしゃべりしたい? だったらあなたが話したいことではなく、お客さんが聞きたいことを話してください。わからないなら、お客さんに聞いてください。そしてそれを広告に反映するのです。するとどうなるか、もうおわかりですよね。

 

人気がない広告はダメ広告

「にんき」ではなく、「ひとけ」です。なぜあなたの会社にお客さんがこないのか。つまるところ、信頼されていないからです。反対に大手はなぜ大手なのか。信頼されているからです。知名度のない会社で勝ち抜くには、信頼してもらうしかありません。しかし、知名度がないということは、信頼もされていないということ。聞いたこともない木っ端企業より、寄らば大樹の陰で大手に頼みたくなるのは人情です。それをとやかくいってもはじまりません。自分だってどこかでそういう行動をとっているはずですからね。

 

じゃあ、どうすればいいか。人気を出します。あなた自身が顔と名前を出す。紙面上に人間が5人以上写っていると、反応率がとてもよくなるという話があります。社員全員で写ってください。社員全員が写れるということは、「俺、顔も名前も出したくないです」というような人間がいないということです。顔も名前も出したくないということは、その会社に勤めていることが恥だと思っているか、後ろ暗いところがあるか、なんにせよ仕事に一意専心ではないということです。ましてや社長自身が「顔出しなんて嫌だ」などという会社は致命的です。信頼が勝ち取れるはずがありません。

 

会社が大きくなれば、どうしたって顔を指されます。それが嫌なら、隠れた名店のような営業形態しかありません。広告なんて出しちゃダメなんです。顔は指されたくない、でも会社は大きくしたい、儲けたいというのは矛盾しています。矛盾した広告、矛盾した組織で売れるはずがありません。ちなみに、信頼を第一に据えている世界的な投資顧問企業のホームページには、社員のほぼ全員が顔出しで載っています。検索すれば食堂のコックさんから清掃員まで載っているそうです。投資会社は製品をつくりません。顧客の大切なお金を運用するだけです。つまり、信頼だけが商品です。

信頼が欲しければ、自分を提供するしかありません。

 

嫌われる覚悟がない広告はダメ広告

全員に愛され、好かれる商品というものはありません。そうでなければ、こんなにたくさんの企業や商品、サービスが出てくるはずがない。でも、誰にも嫌われたくないと思って広告をつくる会社は多いです。一番誰にも嫌われたくなさそうなのはマスコミです。広告媒体を提供してくださる私にとっての宿主ですけども、個性を際立たせた広告をつくると嫌な顔をします。きっとあなたの会社の広告も、こういうのはダメ、ああいうのはダメ、過激なものはダメといわれているかもしれませんね。だったら、新聞広告や雑誌広告は諦めて、ほかの媒体で攻めるのも手です。ただし、やり過ぎると全員に嫌われるだけになることもありますけども。

 

なんにせよ、安さがウリなら安物を見下す人には手に取ってもらえず、高級路線ならコスパ重視の人には否定され、ミドルクラスならどっちつかずになるわけです。ときには嫌われる勇気を持って広告を打ってみること。高級路線か低価格路線か、ちょっと広告を通してお客さんに聞いてみるのです。それで反応がいい方を選ぶくらいの余裕は必要です。

 

全然お客様視点じゃない

「広告はお客様視点で!商品開発はお客様視点で!」といわれて久しいですよね。というかですよ、私の生まれるはるか昔からずっとそうです。でも、お客様視点の広告ができている会社はごく少数です。ここまでいわれ続けているのにどうして少数なのか。経営者が売りたいものをつくって、売っているからというのが根本的な部分にあるのがひとつ。もうひとつは、お客様のことを真剣には考えていないからです。つまり、「こういう商品をこういう感じの広告をされたら買っちゃうよな〜」という視点です。

 

唐突ですが、私は大正時代の建物が好きなんです。日本のものもそうですし、アメリカの「アーリーアメリカン」と呼ばれるようなスタイルも好きです。どこか軽やかなレトロさやモダンさ。そういう建物が山の懐に抱かれて建っているようなのが好きなんですけど、こういう広告をしてくれる会社はありません。もちろん、市場が小さ過ぎるのかもしれません。でも、そこにお客さんがいれば、総取り間違いなしです。たぶん。こういうことをいわれると弱いんだよなぁ、買っちゃうかもな〜という広告を打てていますか? それこそが本当のお客様視点なのです。

 

本当にお客様視点で広告を打つならどうすべきか。例えば豆腐を売るときを考えるなら、

究極の豆腐
このたび私どもが提供する豆腐は通常の豆腐とは異なります。創業明治二〇年のサトウ豆腐店の豆腐は、代々四国山中の湧き水を用い、同じ水で育った国産大豆と瀬戸内のにがりを使って作り続けてきた逸品です。全日本豆腐品評会の受賞歴は6回。これまでは2代目様が味を落としたくないという理由でホテルや小料理屋様に提供するだけだったのですが、昨年3代目様がはじめて金賞を受賞したのを機に、私どもにも1日20丁という限られた数ではございますが、卸していただけることになりました。本当に美味しい豆腐はそのままでも美味しいという理念のもとつくられたこの豆腐。同じ大豆と同じ水を用いて仕込まれたタカハシ醤油のダシ醤油とあわせれば、より一層甘みが引き立ち、大豆の豊かな風味を楽しんでいただけます。もしご納得いただけなければ、責任者のタナカまでお伝えください。全額返金させていただきます。

このようなコピーを書くことになります。品質に絶対の自身がある。責任を取れる。公的な信用もある。そしてなによりストーリー仕立てで、豆腐が作られる過程から、醤油がかかって口に運ばれる瞬間まで想像してしまう。こうなると、漠然とした「欲しい」という感情を飛び越えて、「必要」に切り替わります。砂漠で水を求めるようなものです。水は平時でも大切ですが、砂漠のど真ん中なら「大切」や「欲しい」では済みません。「必要」「なくてはならない」に切り替わる。こうなると、お客様は我慢できません。

 

自分が好きなものを売りつけてやろう、そのためにはどんな広告がいいかなあ? という自称お客様視点では生み出せないコピーですが、お客様に必要だと思わせられるほどの品質と、視点を持てれば、こういったテクニックが使えるわけです。

 

さいごに

 

私のテクニックや知識なんて浅薄なものです。ほとんどのコンサルタントやデザイナーが知っていることに過ぎません。でも、実践しているところはそんなにないですし、それを丸ごと公開してしまうアホンダラはもっと少ないでしょうね。でも、公開してしまいます。きっと敵がたくさんできたはずです。でもいいんです。あらゆる企業や広告に携わる人がこれらの理論を実践すれば、本当にいい品、いい会社だけが残る。知っている会社だけが小手先のテクニックで売りつけて、知らない会社はやられていく。そんなことが減るんじゃないかと思ったからこその公開なんです。

 

もしここにあるようなことを実践して成果が出たら、美味しいバナナをおごってください。

出なくてもご連絡ください。簡単なアドバイスならできるかと存じます。

虎の子や食い扶持を捨ててでも、実現したい夢があるのです。

広告戦略ですべてが決まらない世の中のために、

今日もバナナ片手にがんばります。

サトウユウト(逆境デモンストレーター / 広告デザイナー)

ツイッターhttps://twitter.com/1chokami

メール( info◆3100.work ◆を@に)

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