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安易に株を配らない!事業承継のポイント

仕事に身が入るだろう……などといってはいけない

 

中小企業は社長が100%の株式を持っているべきです。1%たりとも他人に渡してはいけません。

次の表をご覧ください。

 

所有株式数 株主の権利について
1株以上所有 事前質問(書面)、株主代表訴訟提起、各種書類の閲覧・それらのコピーを入手する権利
3%以上所有 会計帳簿の閲覧とコピー、会社・子会社の検査役選任権、

【6ヶ月以上保持で】株主総会開催の請求、取締役・監査役の解任請求・整理申し立て

10%以上所有 会社の解散請求権
1/3を超えて所有 重要事項特別決議の拒否権
1/2を超えて所有 経営権取得、取締役等の選任・解任等
2/3以上所有 特別決議の達成、持ち株割合の変更(新株を発行するなど)、会社の売却や合併、分割などができる

 

ポイントは1株でも持っていれば、好きなだけ会社をいじめられるということです。書類をよこせと年中いってみたり、解答しろといったりできる。断ることはできません。だからこそ上場しない会社があるわけですから、株を安易に他人に配ってはいけないのです。

たとえそれが身内であっても、です。

事業承継の踏ん切りがついていない段階で、株式を子どもたちに配るようなことはやってはいけない。誰もしあわせになりません。長男は会社の株式を得て資産を少額しか受けず、次男は株式をほんの少しだけもらって大半を現金でもらう。そういうふうにした結果、株価が高くなったところで「買い取れ」といってきて、ニッチもサッチもいかなくなることはよくあるのです。「俺は金のほうがいいんだ。嫁もそういってる。会社を解散させて金にしろ……」

どうでしょうか。こんな姿だけは見たくないはずです。会社はあなたの人生そのもので、子どもたちより大切かもしれません。しかしながら、会社に命はないのです。書類の上の存在です。本当に大切なのはどちらか。そんなことを天秤にかけずに済むように、株式は社長がすべて持っているのが正しいのです。

 

A株、B株といったかたちで経営権があるA株、ないB株という分割テクニックもありますが、株のことに詳しくない人、ここでは次男側の人間は、思うように換金できなければ当然に悪いことを考えます。会社の評判を落としてやろうなどと、いって脅すわけです。株=資産という単純な頭にしてしまった社長、つまり親が悪いのです。はじめから株などわけてはいけません。会社と家か、現金資産か。長男、次男ともに社長になりたくないのであれば、他人に売るか解散することを宣言するしかないのです。このへんを曖昧にしているのは、子どもたちの覚悟不足というよりも、社長の教育と覚悟不足です。そうならないためにも5年先を見据えていまから教育、覚悟を問うてください。

 

また、いっそのこと解散してお金にしてしまい、社長と継ぐ予定のある長男で新しい会社をつくってしまう。両方に新会社を与えるなどもありますが、どのようなことになるにせよ遺恨は残るものと心得てください。

社長以外は株を持つな! これが鉄則です。

 

なぜ事業承継と相続税対策がセットなのか

 

答えは簡単です。自社株の評価額が相続税の納税の大半だからです。立派な工場、ゴルフ会員権、大量の車両があるならいざ知らず、多くの会社はそうではありません。非上場の株式は換金性はないに等しいわけですから、個人の預貯金を除けば、その圧倒的多数は自社株になります。でも、相続税はお金に変わらない株式にも乗ってきます。結果、個人の預貯金を相続でわけあったあとのお金では足りず、納税できないと承継者は苦しみ、承継しなかった親族たちは現金をよこせと吠えるのです。この板挟みのなかで、まともに経営ができるはずがありません。

 

私は会社を継ぐと決めた人は、1億なら1億円の借入を銀行にしに行くことをオススメします。相続税を納めるためにお金を貸してくださいというわけです。業績好調な会社なら銀行も無下にノーとはいいません。株式の評価額も借入があれば一気に下がります。事業承継後の落ち込み対策として、先行投資のためにある程度使ってもいいでしょう。

 

なにより、「1億円借りる書面に名前を書く」という覚悟を問えます。近年は長男とて家に残らないので、事業を継ぐといってもどこか他人事。家業という意識が薄い傾向にあります。ましてや家から別の家に婿や嫁として出ていく可能性のある次男や長女の立場の人間に覚悟を問うことは、相手の家に覚悟を問うことでもあります。ここが大切なのです。

 

「社長の息子、娘という立場の人間なら、相続のときに婿や嫁が財産をもたらしてくれるかも」

そんなことを考える人はいないと思っていませんか? とんでもない。半数以上は思います。ノーリスクの金ヅルだと思っているのです。でも、後継ぎではなく婿や嫁が継ぐことになり、1億の借入がかぶさってくるとしたらどうでしょう。そのリスクは「向こうの家」も負うべきものです。安易に経営に口出しできるでしょうか。そんなの怖いから株なんて持ってくるなというと思いませんか?

 

株なんていらない、金にしてくれといわせればしめたものです。絶対にそうしなければいけません。お金は銀行に行けばどうにかなりますが、会社はどうにもなりません。会社を売って金にしろなどといわれるのが一番困るわけですから、経営の現実を突きつけて、家単位で覚悟を問うことをオススメします。

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