腸と脳(エムラン・メイヤー)
腸と脳、それぞれのフツウ
メタボリックシンドロームが問題視され、企業での健康診断が推奨されています。
お腹が出ていると、決まって「どんな食生活をしていますか?」と聞かれてしまう。
そこで、「フツウですよ。フツウにしてたら太りますよ。中年だから」などと言い訳してみる。
でもそれって、ほんとうに普通なんでしょうか。
隣にいる家族以外の誰かに、1週間食べたものをすべて記録してもらって、
自分の記録と突き合わせると、まったく違う食生活をしているはずです。
それなのに、フツウだと誰もがいうんです。比べあったこともないのに。
そんな私のかつてのフツウの食事は、チンゲンサイ1輪とうどん1玉。
学生時代、本を買うために徹底して食費を切り詰めて、気がついたら体重が86kgになっていました。
あるときはチャーハン2合をおかずに米5合。
またあるときはスパゲティ10人前。
忙しすぎて食べるときと食べられないときの差が激しく、食い溜めが当たり前になっていた
編集者見習い兼学生時代と、正式な編集者時代。
体重は140kgをゆうに超えていました。
両国国技館も近い、秋葉原に住んでいたので、場所前の稽古終わりに出かけてくる
入門直後の若い力士なんか、屁でもないほど太っていて、4Lの服、140cmのベルト、
それがフツウでした。なにも異常に感じなかった。
そしていま、口に入るものすべてを記録し、管理し、野菜と果物だけで1kg以上。
毎度書いていますが、体重は62kg、体脂肪率は5〜7%。わずか1年半のできごとです。
でも、いまではそれが「フツウ」です。便通は不通じゃなく、日に2通あります。
その前までは5日、6日はフツウにフツウでした。
ちなみに私はお酒が飲めません。苦手なのではなく、一切受け付けない体質で、
注射のアルコール消毒すら厳禁。やれば皮膚が焦がしたせんべいのようにカピカピになります。
それどころか、隣でお酒を飲んでいる人がいるだけでめまいがしたり、吐き気がします。
ですので、飲むどころか酒席にすら参加できません。
でも、それが私のフツウです。
お酒を飲める人からすれば異常で、お酒を飲むのがフツウでも、私は酒席に出られないので、
お酒のカロリーも、つまみのカロリーも摂らないわけです。
ペンギンズという映画「マダガスカル」シリーズからのスピンオフアニメがあります。
そこに出てくるペンギンの隊長は、頭で考えるな、腹に聞けという教えを隊員に授けます。
フツウなら、バカも休みやすみ言えと思うところですが、『腸と脳』を読んでいると、
腹の具合があるからこそ脳があり、腸内のマイクロバイオームだの、腸内フローラだのこそが、
人間を左右していることがわかって、あながちバカにもできないなと思う。
眉にツバして聞きたいような話ですが、栄養を摂るのは腸の仕事。腸がなければ、脳もない。
植物から人間が進化してきたなら、腸は植物でいうと根になります。
そう考えれば、脳より腸が大切だと理解できます。
例えば、脳死というものがあります。
これにも色々意見や問題(『ゴースト・ボーイ』等参照)があるのですが、
脳は死んでも、臓器は生きる。
やっぱり、根っこはすごい、腸はすごいのです。
これからの時代、頭がいいより、腸がいいことがもてはやされるようになるかもしれません。
ですので、もう少し消化器をいたわって、腹回りを減らしてみてはいかがでしょうか。
近い将来、「お前、ホント腸が悪いな〜」といわれないためにも。
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